助成団体紹介
ひとりひとりの夢を支える学びの場:地震の影響をうけた子どもたちへの学習サポートプロジェクト
NPO制服バンク石川
令和6年能登半島地震で被災した子どもの学びや育ちの支援活動助成 活動報告
- 団体名
- NPO制服バンク石川
- 代表者名
- 池下 奈美
- 事業名
- ひとりひとりの夢を支える学びの場:地震の影響をうけた子どもたちへの学習サポートプロジェクト
支援地域/支援対象者/活動期間 活動地域や支援対象者の状況 支援の内容・方法 成果 考察
支援地域/支援対象者/活動期間
■活動地域
石川県金沢市
■支援対象者
能登半島から金沢に避難した小中高校生
■活動期間
2024年4月10日~6月30日
活動地域や支援対象者の状況
■支援時の状況
1月の能登大震災において、被害の大きかった珠洲市、輪島市、羽咋市だけでなく、七尾市、能登町、中能登町、穴水市などの被災エリアからもインフラや教育環境の悪化から、石川県金沢市や県内に家族や生徒だけの避難が行われています。
しかし、災害対応として、国家施策として、生活や生命を優先する中で、こども達の教育や体験などの活動や、環境の変化や家族や友人の喪失に対するこころのケアは行き届いていないのが現状です。新しい環境でも、前を向いて学び、夢を持って前に進んでもらうためにも、学ぶ場を作ることが大切です。学校以外での学びの場所を提供することで、子供達が楽しく学べるようにサポートしていきたいと思います。
北國新聞が、輪島市の教育委員会へ取材した記事によると、新年度に輪島市内の小中学校に通う児童生徒の見込み数が、地震前と比べて4割減少しているとのこと。それだけ多くの子ども達が、市外に転校したり、避難先の学校に一時的に通学しているケースがみられるそうです。今までとは違う環境での生活に慣れるまでにも大変な中、勉強に打ち込める環境になるには時間もかかるのではないかと思われる。
支援の内容・方法
地震の影響を受けたシングル家庭3家族、両親家庭6家族、合計9家族からの申し込みがありました。
小学生と中学生、合計14名に対し、個別オンライン学習支援を行いました。
2024年4月23日から6月24日までの間、金沢市の温泉施設「和おんの湯」の貸し切り個室をお借りして学習支援を実施しました。
また、七尾や輪島からも受講したいとの声が出たため、会場に来られない希望者に対してはも、オンラインでつなげて受講も可能にしました。
1人1人に講師の先生がつき、子ども達が知りたいことを、先生に伝えて、丁寧に指導してもらっていました。
Skypeで行うため、会場以外から参加する生徒さんには、Skypeの使い方や、画像の送り方など、事前テストを行う必要があり、事務作業がかなり増えましたが、能登方面、加賀方面からも参加してもらうことができました。
会場へ参加してくれた方には、帰宅時に「和おんの湯」の食事処で作っていただいたおにぎりセットを持ち帰ってもらい、食事の支援も行いました。
■実施頻度、回数
支援活動は2024年4月23日から6月24日までの間に10回開催し、合計50時間の学習支援を提供しました。
■告知方法
1. 公式ウェブサイト:当団体の公式サイトに学習支援の詳細を掲載し、対象者が簡単に情報を得られるれるようにした。
2. SNS:Facebook、InstagramなどのSNSを活用して告知。
3. LINEや、NPOのメーリングリストに登録している支援者や関係者に対して、学習支援の詳細を記載したメールを送信。
4.チラシの制作を行い、活動内容を広く伝えることができた
5.テレビや新聞取材を受けたため、メディアを通して活動を周知することができた。
これらの方法を組み合わせて告知し、幅広い対象者に情報を届けることができました。
成果
アンケート結果では、全員から「参加して良かった」と非常に高い評価を受けることができました。学習支援の内容に対しても、満足以上が8名という高結果で、学習支援が生徒たちのニーズにしっかりあっていたと言えます。
親御さんからは、「楽しかったと話してくれ嬉しく思った。普段は嫌がる勉強もマンツーマン指導で分かりやすく教えてもらえた。楽しかった!優しかった!また行きたい!などのポジティブな感想を子供から聞けた。楽しそうに学習支援を受けている姿を見て安心した。丁寧に指導してもらえて助かった。理解できていなかった部分を補完し、予習としての効果もあった。」との声がありました。
子ども達からも、「わかりやすく教えてもらい勉強になった。参加して良かった。間違えた問題を丁寧に解説してもらい、理解できなかった部分を克服できた。正解した時に褒めてもらえてモチベーションが上がった。楽しく勉強できたので、また受けたい。」との声がありました。
多くの方から、今後も学習支援を受けたいという声が上がったため、継続的な支援の必要性が確認されました。
考察
この学習支援活動は、子供たちの学習意欲を高め、理解度を向上させることに成功したと思います。
特にマンツーマン指導や丁寧な解説が好評でした。また、急遽導入した会場外からのオンライン受講により能登方面からも受講できた点も良かったと思われます。
今後の課題
1.支援形式の継続と改善:5名を同時に2人のスタッフで対応するのは無理がありました。時間差やスタッフの確保など、改善が必要です。
2.親御さんの送迎と待機:親御さんの負担を軽減するため、会場外からのオンライン受講を推奨します。ただし、直接の会話が減るため、避難状況や支援の現状を把握する機会が減ります。これを補うために、定期的なアンケートや、定期的なオンライン面談、電話相談を取り入れるなど、コミュニケーションの確保が必要です。
多くの子供たちが学習意欲を持ち、理解度を向上させることができ、親御さんからも高い評価を得ました。今後も地震の影響を受けた子供たちに継続的に学習支援を提供することで、勉強面での不安を少しでも取り除きたいです。