公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

能登半島地震で被災した子どもへの教育支援

公益社団法人 チャンス・フォー・チルドレン

被災した子どもの学びや育ちの支援活動助成

令和6年能登半島地震で被災した子どもの学びや育ちの支援活動助成 活動報告

代表者名
今井悠介 奥野慧
事業名
能登半島地震で被災した子どもへの教育支援

支援地域/支援対象者/活動期間 活動地域や支援対象者の状況 支援の内容・方法 成果 考察

支援地域/支援対象者/活動期間

■活動地域
 石川県全域

■支援対象者
 能登半島地震で被災した子どもたち(小学生から高校生)

■活動期間
 2024年2月11日~6月30日

活動地域や支援対象者の状況

震災に伴い、資金面、環境面の両面から、子どもの学びが制限されており、無料塾等の支援は行われているものの、対象学年や期間が限定されているものも多く、全ての子どもへの長期的な支援は行えていない状況にある。
助成金申請者からは、自宅の焼失や倒壊、失業等により資金繰りが厳しい中で、子どもの学びへの支出が難しいとの声が多く寄せられた。
また、仮設住宅の限られた間取りでは子どもの学習スペースが十分に確保できていないこと、体育館・グラウンド等が使えなくなり部活動が出来ていないこと、遠方まで通わざるを得ず送迎等の負担が大きいこと、破損や転校に伴い部活動の用具購入費用がかかること等、様々なケースが生じている。

支援の内容・方法

◆事業概要
 能登半島地震で被災した子どもたち(以下参照)を対象に、学習塾や予備校、習い事、部活動等で利用できる助成金を提供
(習い事・塾などのサービスを受けるためや、部活動で使用するために必要不可欠な教材・用具等の購入費用も助成可)

◆利用者の要件
 以下2点の要件を満たす者
①「令和6年能登半島地震」で被災した小学校1年生から高校3年生(2024年4月時点)であること
②「令和6年能登半島地震」で次のいずれかの被害を受けていること(※証明書要)
・住家被害(全壊、半壊)
・希望者が属する世帯における主たる生計維持者の死亡または行方不明

◆助成金額
世帯あたり50,000円を助成し、子ども一人につき10,000円を追加助成
(例)
子ども1人の世帯:50,000円
子ども2人の世帯:50,000円+10,000円=60,000円
子ども3人の世帯:50,000円+20,000円=70,000円
※子どもたちへの助成金は寄付金を財源に提供

■実施頻度、回数
〇一次申込
申込期間:2024/4/15~2024/5/31
助成開始:2024/6/24~
〇二次申込
申込期間:2024/6/1~2024/6/28

■告知方法
石川県教育委員を通じてメールにて情報配信
(石川県教育委員会から県内全ての小中校・特別支援学校にメール配信し、各校より保護者にメール配信)

七尾市の倒壊した家屋。七尾市は、地盤や構造、築年数等により住家被害に差があった。
地面が大きく割れた七尾市立七尾東部中学校。2月中旬に訪問し、まもなく閉鎖になるとのことだった。
地面が大きく割れた崎山地区コミュニティセンター。段ボール等での区切りもなく、避難者が布団を並べて寝ている状況。
応急危険度判定結果の貼り紙がされており「危険」「要注意」「調査済」の三種類からなる。七尾市には「危険」の貼り紙がある建物も多く見受けられた。
七尾市内の避難所でのアセスメント。運営者と避難者にヒアリングを行い、七尾市に情報共有を行った。
炊き出しが行われている避難所もあれば、インスタント食品のみ置かれている避難所もある。物資配給状況も避難所によって異なり、避難所間での過不足の調整が必要であった。

成果

252世帯/449人に、計14,570,000円の助成を決定。
世帯あたり50,000円を助成し、子ども一人につき10,000円を追加助成。

(内訳)
子どもの人数1人:50,000円×117世帯=5,850,000円
子どもの人数2人:60,000円×81世帯=4,860,000円
子どもの人数3人:70,000円×48世帯=3,360,000円
子どもの人数4人:80,000円×5世帯=400,000円
子どもの人数5人:100,000円×1世帯=100,000円

考察

当団体の過去の震災支援は、主に受験生を対象に教科学習を支援するものであったが、この度は、居住地域によって異なる多様なニーズ(受験競争がなく学習塾よりも部活動等のニーズが高い地域や、受験競争があり学習塾へのニーズが高い地域等)を捕捉すべく、小学生から高校生を対象に、教科学習から習い事、部活動まで広く支援する制度とした。
申請者に助成金の希望用途を尋ねると、部活動、スポーツ、教科学習の順に多く、「震災によって破損した部活動の用具を買い替えたい」「避難先の学校に転校したことで、ユニフォーム購入等の費用がかかる」「体育館やグラウンドが使えなくなり遠方まで通わざるを得ず、交通費が負担になっている」等の声が寄せられており、被災者のニーズを的確に捉えるものであったと考える。
また、「助成がなければ子どもに習い事を続けさせることができなかった」といった声も多く、本事業は、震災で家計や居住環境が急変した世帯において、子どもの学びや体験を確保する一助になったと考える。

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