公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

富山県助産師会による災害母子支援活動

一般社団法人 富山県助産師会

被災した子どもの学びや育ちの支援活動助成

令和6年能登半島地震で被災した子どもの学びや育ちの支援活動助成 活動報告

代表者名
福岡 弘美
事業名
富山県助産師会による災害母子支援活動

支援地域/支援対象者/活動期間 活動地域や支援対象者の状況 支援の内容・方法 成果 考察

支援地域/支援対象者/活動期間

■活動地域
 富山県氷見市、高岡市、黒部市、石川県金沢市

■支援対象者
 被災や震災による不安やストレスを抱える妊産婦とその家族

■活動期間
 2024年1月4日~5月31日

活動地域や支援対象者の状況

  • 富山県内の氷見市、高岡市では、被災状況が深刻であり、断水が長期間続いていた。妊婦、産後の母子や家族は、不安やストレスを抱えて過ごしており、断水で水分を控えていたことによる母乳分泌や乳房トラブルへの不安を抱えていた。また、乳児健診が実施されていないための育児不安、乳児の沐浴ができないなどの現状があった。
  • 富山県内のホテルに避難してきている産後の母子が二次避難してきていたが、ゆっくり体を休めることができない、産後の体調への不安、育児への不安などを抱えている状況だった。
  • 石川県では二次避難所(石川県青少年総合研修センター)いる妊婦や母子への支援が必要な状況であったが、石川県助産師会の助産師だけではマンパワー不足の状況であった。

支援の内容・方法

①被災地での母子支援活動
(日時)
2024年1月14日、1月28日、2月5日、2月23日、3月5日、3月22日、4月30日、5月31日(計8日間の各半日)
(場所)
高岡友の会、氷見市窪南公民館、氷見市子育て支援センター
(支援内容)
 各会場3組~21組の母子
・断水などのライフラインに支障のあった地域に助産師が出向き、新生児や乳児の沐浴支援活動を行う。
・被災による不安・ストレスを伴った妊婦や母子に対する助産師相談会、メンタルヘルスケア。
・被災により水分制限やストレスから乳汁分泌低下、詰まりなどのトラブルに対し、乳房ケアを行う。
・震災のため乳児健診が受けれなかったため、新生児や乳児の体重測定で成長や発達の確認や相談を受ける。
・被災でストレスのある母親や保育所に入所のできない幼児の居場所作り、母親が安心できる支援場所の提供を行う。
(実施者)富山県助産師会の理事、会員へ協力を募り助産師が担当する。また看護学生や助産師を目指す子どもたちも参加協力の申し出があり、サポーターをしてもらった。

②富山県に二次に難している母子支援 1組の母子
(日時)
2024年2月12日、19日(計2日間の各10時~16時)
(支援内容)
・昼食をとっていただき、育児相談、沐浴、産後の体調に関する相談に応じ、ゆっくり休んでいただいた。
(実施者)
・富山県助産師会理事、高岡友の会の会員

③石川県避難所における母子支援活動 妊婦、母子、その家族 約40名
(日時)
2024年1月29日、1月30日、2月1日、2月2日、2月3日、2月8日、2月11日、2月15日、2月26日、2月29日、3月1日、3月4日、3月7日、3月13日、3月15日、3月16日、3月19日、3月29日、3月30日(計19日間の10時~17時)
(場所)
石川県青少年総合研修センター 石川県金沢市常磐町212-1
(支援内容)
・避難所にいる妊婦の健康チェック、相談、メンタルヘルスケア
・避難中の母子や子どもの居場所作り
(実施者)
富山県助産師会の理事・会員

■実施頻度、回数
富山県内の母子支援ボランティア活動:計8回
富山県に二次に難している母子支援活動:計2回
石川県における助産師派遣:計19回

■告知方法
高岡市、氷見市、黒部市の母子保健担当の保健師によるパンフレット配布、市の公式LINE、富山県助産師会のインスタグラム開設し周知した。

①新生児・乳児沐浴支援活動
②沐浴支援活動、助産師相談会
③助産師相談会(乳児の成長発達の相談)

成果

  • 富山県内の妊産婦支援ボランティアにおいては、乳児の沐浴支援、乳児の体重測定、乳房ケア、助産師による相談会に多くの妊産婦や家族が来られた。乳児の沐浴を行ない、新陳代謝の活発な乳児の皮膚を清潔にし、感染予防に繋げた。妊婦や母子の被災による不安やストレスは大きかったが、助産師がじっくり耳を傾け、少しでも安らげる時間を提供したことや母乳相談や乳児の成長発達の相談を行うことで安心されていた。
  • 能登半島から富山県内のホテルに二次避難してきている母子への支援を行った。産後1か月でゆっくり体を休めることができない、産後の体調への不安、ホテルで赤ちゃんと二人きりだと孤独だったことから、高岡市の会場で赤ちゃんを預かり、ゆっくり休養してもらったり、温かい食事を提供し、様々な相談に応じたことで、不安だった避難生活を安心して過ごすことができたという声が聞けた。
  • 石川県の二次避難所において助産師が常在し、妊婦や母子の健康チェックや相談を行なったことで、避難所での生活を少しでも安心して過ごすことに役立った。上の子どもたちの遊び場や過ごす場所での見守りを行うことで、被災した子どもたちのストレスを解消できるようにサポートできた。

考察

  • 災害支援として富山県助産師会による妊産婦支援ボランティアの活動を継続的に行ってきた。被災した妊婦や母子は、体調への不安や産後の心身の変化や育児不安があることに加えて、被災による不安も重なり、助産師による妊産婦支援活動の必要性があったと考えられる。
  • 沐浴ボランティアは、断水への早急な対応として、母親やその家族への直接的な育児支援になった。また、テレビや新聞社などの取材もあり、社会的にも災害時の妊産婦支援活動は注目され、妊産婦、乳児や子ども、その家族への支援が必要なことをアピールできたと考えられる。
  • 継続的な助産師会による相談事業やメンタルヘルスケアにより、妊産婦やその家族の被災後の不安を軽減することに役立っていた。

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