公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

聴覚障害児の為のデフフットボールを通じた『こころとからだ』元気プロジェクト

一般社団法人 日本ろう者サッカー協会

被災した子どもの学びや育ちの支援活動助成

令和6年能登半島地震で被災した子どもの学びや育ちの支援活動助成 活動報告

代表者名
野呂 啓
事業名
聴覚障害児の為のデフフットボールを通じた『こころとからだ』元気プロジェクト

支援地域/支援対象者/活動期間 活動地域や支援対象者の状況 支援の内容・方法 成果 考察

支援地域/支援対象者/活動期間

■活動地域
 石川県金沢市

■支援対象者
 北陸地方に住む聴覚障害児やその兄弟姉妹等

■活動期間
 2024年6月1日~6月30日

活動地域や支援対象者の状況

■支援時の状況
能登半島地震後2カ月半が経つ中、社会(学校含む)が動き始めている。
しかし生活の再建も居住地域により格差があるなど子どもたちの環境は依然不安定である。
様々なボランティアなどが入る事で支援の幅も広がってはいるが聴覚障害児へ向けたした支援は未だに少ない様である。
聴覚障害の割合は全体の0.1%の少数派である。東日本大震災時にも聴覚障害児者への支援は行き届かずに更に困り感が強かった(聞こえない事での情報不足等)。
震災後は我慢するしかなかった心身の不調が社会が動き始めると表出するという事案は東日本大震災時にも社会問題となり現在まで影響がある。健聴児に比べストレス負荷が高い聴覚障害児への支援が急務である。(周囲が生活再建に必死な状況下で子どもはヘルプを出し難い。)

支援の内容・方法

【だれに】
石川県及び近隣の聴覚障害児及びソーダ・コーダ・保護者・その他障害児等

【どこで】
 金沢市内のフットサル場(ドガール様)

【何を】
デフフットボール教室の開催 (内容約2時間・全3回:6月1日・15日・16日)
デフサッカーやデフフットサル元日本代表選手などが講師となり教室を開催した。
年齢層・経験値などでチームを分けて安全な運営を心掛けた。
手話と口話を併用する事で、兄弟児や保護者にも参加しやすい環境を整え、思い切り体を動かすことを楽しんだ。全回参加の家庭もあった。
聴覚支援学校の先生も参加下さった。

■実施頻度、回数
第1回 6月1日
第2回 6月15日
第3回 6月16日

■告知方法
フライヤーを北陸の聴覚支援学校及び聴覚障害者協会等へ配布した(郵送)。当協会のHP・SNSでの告知。

手話でルールなどを説明します。お父様も一緒に参加する
お父様お母様や聞こえる兄弟も参加して自己紹介をします
聴覚障害児や重複障害のお子様も参加して多様に楽しむ
低年齢児に配慮しながら準備体操を行う
視覚で楽しむ「だるまさんが転んだ」。ドキドキしながら楽しんだ
聴覚障害児や重複障害のお子様と共に記念撮影

成果

当協会としても北陸でのデフサッカー教室開催は初めてとなった。
聴覚支援学校の先生が全回参加してくださり、「聴覚支援学校で集団競技の指導が困難な状況。このような当事者スポーツ団体が指導に来ることは殆ど無く大変ありがたいし学校へも訪問頂きたい」とお言葉を頂く。
本当は参加したいご家庭がもっとあったが震災関連の家の片付け等で参加が難しいご家庭もあったと聴いた。富山からの参加者もおり、今後継続した支援の希望の声が保護者からも多くあった。
聴覚障害ということで元々家族でスポーツを楽しむことに抵抗があったご家庭にスポーツによるストレス発散の場を提供し、今後の起点となった。
一緒に参加した兄弟児(健聴)も妹のイキイキと動く姿と父母が共に楽しむ姿を見て「楽しい楽しい」と大変喜んでいた。
震災後の様々な場面で生活への制約やそこはかとない気持ちの落ち込みがある中で共に汗を流し楽しむ場の提供は大きな成果があった。
お子様だけではなく、保護者の方からも「久々に家族で楽しめた」との声が多かった。いまだ復旧途中の地域がある中で今回の活動が障害児を持つご家庭に心身のストレス発散となった。

考察

今まで当協会がアウトリーチできていなかった地域に「震災支援」という形で赴かせて頂いた事で新たな地域課題の発掘が出来た。
震災という大きな出来事の中でさえも「聴覚障害児」は取り残され障害特性へ紐づいた支援が充足していない。
今回の活動により東京や大阪で活動する当事者ロールモデルとの出会いにより保護者たちも繋がりが広がった。
都市部では活発な当事者活動も地域格差が顕著である事を再認識できた。
可能性ある子どもたちの選択肢の数に地域格差が大きく影響する事は大きな問題である。
今回の活動を通して、地域に潜在する聴覚障害児への様々な体験機会の提供が広がれば良いと強く思う。
障害理解が整えば、聞こえない子どもと共に家族でスポーツの楽しみを共有できる事が体感頂けたことは大きな成果である。
震災後の心のケアは長く続く。東日本大震災の影響も未だに続いている。能登の聴覚障害児やそのご家庭に手厚い支援が 継続できるよう期待する。当協会としても可能な限り関わっていきたい。

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