公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

2025事業紹介|病院や自宅等で療養生活を送るこどもたちの内面を豊かに育む、映像制作ワークショップ実施事業

特定非営利活動法人 ポプルワークス

病気・障がいを抱える子どもの学び支援

病院や自宅等で療養生活を送るこどもたちの内面を豊かに育む、映像制作ワークショップ実施事業


重点実行項目
企画・取材・構成・撮影に挑戦! チームで取り組む映像制作~成果披露発表会

助成金額
¥2,000,000

選考にあたっての評価点
療養生活を送るこどもたちの退院後の課題に着目し、地域活動を意識したプログラム導入を評価します。映像制作ワークショップを通して、こどもたちが地域とつながりを持つ機会になることを期待します。

1)団体の紹介

 多様な背景のこども・若者当事者たちが、社会の一員として大切にされ、自分らしく生きられる温かな社会の実現を目指して、メディア・教育・福祉の専門職が集まって設立した団体です。発達障がい、精神疾患、不登校などで悩みを抱えるこども・若者を対象とした『映像制作ワークショップ』や『メディアコンテンツの制作』を行っています。
 代表理事の西澤は、ディレクターとしてNHKで20年間、主にこども・若者の教育福祉分野の番組制作に携わってきました。長年私たちが現場で経験してきた映像制作のプロセスが、こども・若者たちにとって、「自己理解力」「表現力」「コミュニケーション力」といった「生きるために重要な力」を楽しく育んでいく機会になりえると気づいたことが、この活動に注力することになったきっかけです。


2)今回助成を受ける事業の紹介(課題、実行項目)

 精神医療の現場で、長期入院中のこどもたちを対象に『映像制作ワークショップ』を実施します。なぜ精神医療にフォーカスするかというと、こころの問題は外からは見えづらく、特にデリケートな分野であるぶん、外の世界へ開いた活動や関わりを生み出しづらい現状があると感じるからです。
 これまで、取材活動を通して、児童精神科をはじめとした、こどもたちのこころの現場に多く関わってきました。感受性が豊かで繊細であるがゆえに、しんどさを抱えるこどもたちも多く、その分、自分の内面を表現できたときの喜びや成長も大きいことを感じてきました。繊細さを強みにできる機会づくりに貢献していきたいと考えています。

 2024年度には、大阪市立総合医療センターの児童青年精神科で、長期入院中の10代のこどもたちを対象に、約1か月の映像制作ワークショップを実施しました。医療現場の皆さまが、こどもたちが参加しやすいように声がけや環境作りをしてくださり、温かい雰囲気の中で実施することができ、とても感謝しています。
 こどもたちは、チームを組んで、映像制作のさまざまなプロセス[企画を考えること、情報取材、インタビュー、撮影、発信すること]を経験しました。最初はうつむいて視線を合わせることが難しく、発言をためらっていたこどもたちが、制作活動を積み重ねる中で、日に日に自分の意見を多様な形で表現できるようになり、仲間に声を掛けたり助け合ったりするようになり、毎日豊かな表情を見せるようになっていきました。そして集大成となる病院での発表会では、大勢のお客さんの前で、自分たちの言葉で堂々とメッセージや思いを発表する姿を見せてくれて、私たちも強く心を打たれました。

3)事業を実行していく上でのポイント・抱負

 2025年度は、映像制作ワークショップを「こどもたちの退院後」にも焦点を当てた活動へと発展させたいと考えています。こどもたちが、入院中に安心できる環境で治療に取り組みながら、退院後の生活に向けた希望や具体的なビジョンを持てるようになることも、重要だと考えるためです。そこで、映像制作ワークショップを通じて、病院の中と外に仲間を作ること、温かな大人たちや社会資源と出会うことなどの要素を重視し、医療機関や地域の団体と連携しながら、こどもたちが未来へと目を向けられる機会や社会につながる機会を、創り出していきたいと考えています。

代表理事

西澤道子 さん

映像ディレクター・社会福祉士・精神保健福祉士。長年NHKのディレクターとして、教育エンターテインメント番組や、こども・若者をとりまく社会課題に関するドキュメンタリー番組など、多様な番組の制作を担当。NHKを退職後、メディアを活用して温かな社会づくりを目指そうと当法人を設立。福祉・医療・教育現場と連携したメディア活動を展開している。

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