助成団体紹介
2025事業紹介|地域連携による外国にルーツを持つ就学前のこどもの日本語・母語の教育環境整備事業
認定特定非営利活動法人 アイキャン
地域連携による外国にルーツを持つ就学前のこどもの日本語・母語の教育環境整備事業
- 重点実行項目
- ①地域住民を対象にした外国ルーツのこどもの教育課題の啓発、言語教育の担い手育成研修、体験型学習の試行
- ②保護者向けのワークショップ
- ③行政・教育機関向けの研修(他地域の先行事例の視察も含む)
- 助成金額
- ¥2,999,320
- 選考にあたっての評価点
- ●外国籍住民が1割を越える地域において、外国ルーツのこどもたちへの日本語・母語教育支援を行う意義は大きいと評価します。
- ●対象となるこどもたちの就学前の学習環境改善計画と、ダブルリミテッドの解消に向けた取り組みに期待します。
1)団体の紹介
「誰もがもてる力を発揮し、未来を切り拓くことができる社会」を目指し、人々が自分自身の可能性や社会課題に気づき、解決に向けて行動する力を育む活動に取り組んでいます。フィリピンでの開発プロジェクトを通じて培った、「当事者の主体性を引き出し、組織化を通じてエンパワメントするアプローチ」を基盤に、日本国内では、外国ルーツの人々が地域で安心して暮らし、社会の一員として活躍できる地域づくりを進めています。具体的には、生活相談への対応、安心して過ごせる居場所づくり、そして一人ひとりの「やりたい」を応援する活動を実施しています。
2)今回助成を受ける事業の紹介(課題、実行項目)
岐阜県美濃加茂市では、外国ルーツを持つこどもたちの約半数が日本語指導を必要としており、母語と日本語の両方が未発達な「ダブルリミテッド」状態にあるこどもも少なくありません。この状態は、学習内容の定着を難しくし、学習意欲や自信の低下、さらには不登校の一因となることがあります。その背景には、言語教育を担う人材の不足、家庭内の言語環境の課題、地域の支援体制の不備があります。本事業では、①日本語・母語教育の担い手の育成、②保護者支援と自助組織の形成、③地域の支援体制の強化に取り組みます。認可外保育園、企業、行政と連携し、就学前から家庭・地域・教育機関が連携してこどもの言語発達を支える体制を構築します。美濃加茂市をモデル地域とし、マニュアルやカリキュラムの整備を通じて、他地域への展開も目指します。
3)事業を実行していく上でのポイント・抱負
外国ルーツのこどもたちが直面する課題に地域の人々が気づき、学び、関わるきっかけとして、まずはシンポジウムを開催します。そこから、日本語・母語教育の担い手を育成する研修へとつなげ、認可外保育園での実地経験も組み込むことで、地域の実情に根ざした人材を育てます。さらに、教育系企業や地元産業とも連携し、体験を通じた言語学習プログラムも構築します。また、保護者支援では、教会や派遣会社との連携を通じて参加しやすい機会を提供し、保護者同士のつながりと自助組織の形成を目指します。外国籍住民の多い美濃加茂市をモデル地域とし、マニュアルやカリキュラムを作成しながら、他地域への展開も視野に入れて取り組んでいきます。
福田浩之 さん
フィリピン大学大学院にて地域開発学を専攻する傍ら、NPO法人アイキャンの職員として、10年間フィリピンの路上のこどもの自立支援に従事。2023年に帰国し、日本で新規事業を立ち上げ、外国ルーツのこどもを対象とした学習支援・居場所づくりを実践。海外と日本の現場で「当事者の力を引き出す支援」を大切に活動している。