活動実績
【外国ルーツの子どもの学び支援】キャラバンin北陸、当事者のリアルな声を届ける公開放送を開催
大阪に続き、4度目のキャラバン開催
ベネッセこども基金と、外国ルーツのこども・若者向け教育支援機関である「YSC Global School」が共に取り組んできた「キャラバン」企画は、日本各地で活動する団体や関係者を繋げ、支援の輪を広げることを目指しています。
4度目となる今回は、福井県での開催。福井駅構内のオープンスペースで、公開ラジオ形式というユニークなスタイルで実施されました。当基金は後援として現地に足を運び、この熱気あふれる対話の場に立ち会いました。
>>前回の「キャラバンin大阪」での様子はこちらでご紹介しています。
https://benesse-kodomokikin.or.jp/activity/performance/2026/02041221.html

当事者ユースたちが経験談を自ら発信
今回は当事者である外国ルーツの若者が主体的に企画運営に携わり、「みんなのモヤモヤ・おしゃべりラジオ」と称して自身の経験や声を届けました。

参加したユースは、ブラジル・フィリピン・エジプト・パキスタン等多様なルーツを持っています。トークの冒頭では、ルーツとなる国と日本の文化の違い、日本にきて感じたカルチャーショックが話題に。「日本はとても綺麗で、良い意味で驚いた」というポジティブなエピソードから、「宗教上必要な服装の決まりがあるのに、学校の校則や会社の制服ルールが優先され、理解が得られなかった」といった切実な苦労話まで、自身の経験が率直に語られました。
また、「日本人の友人は、ひどい体調不良の時でも、職場から『来て』と言われたら出勤することに驚いた」と、周囲を優先しすぎる日本の文化に戸惑いを感じたエピソードも。

日本生まれ・日本育ちであっても、家庭内では母国語でコミュニケーションをとるケースもあり、学校での日本語学習という「共通の壁」について互いに深く共感し合う姿が印象的でした。特に、「漢字」や「アクセントの違いで意味が変わる言葉」を使い分ける難しさ、学年がずれた状態で授業を受ける辛さなど、当事者同士だからこそ通じ合う重みがありました。

リスナーへの回答や独自アンケートのシェアで、トークを深掘り

ラジオでは事前に「悩み」や「モヤモヤ」を匿名で募集しました。
「見た目のイメージと、実際にルーツがある国が違うというだけで、いじられる。なぜ?」という投稿に対し、ユースたちは自身の体験を重ねながら対話を深めました。
「あるある。変なあだ名をつけられたこともあったな~」と笑いを交えつつも、「自分のことを分かってくれる人は絶対にいるから、その人と一緒にいれば大丈夫」「その場で笑いに変えて自分を明るく保つ強い気持ちも必要だった」と、それぞれが乗り越えてきた術もシェア。伝える側への「『違ったらすみません』と一言添えるだけでも、心は少し和らぐはず」という提案には、温かい説得力がありました。
「投稿者さんのように、『なぜだろう?』とみんなが疑問を持てるようになるといいよね」という問いかけは、会場の多くの大人たちの心に深く刺さりました。
また、「外国ルーツをもつ中学生~社会人の悩み」アンケートの結果を元にしたトークでは、意図しない偏見が相手を傷つける「マイクロアグレッション」について議論しました。
「意外と日本語うまいね!」「○○人だから明るいよね」――良かれと思って発せられた言葉が、実は無意識の偏見(マイクロアグレッション)として相手を傷つけてしまうことがあります。アンケートでは12名の回答者のうち9割が「経験がある」と回答する結果となり、この問題が日常にいかに潜んでいるかが浮き彫りになりました。こうした何気ない言葉が相手を追い詰めていないか、改めて見つめ直す必要を感じました。
いじめへの対応については、「親に心配をかけたくない、事態を大きくしたくない」という理由から誰にも言えなかったという声が多く、自分たちの力で困難を乗り越えてきた彼らの心情が、リスナーの胸を打ちました。
保護者、支援者の「おとなトーク」
ユース主体のトークセッションに加え、保護者グループ、北陸を拠点とする支援者グループに分かれたディスカッションも行われました。

保護者からは、「ルーツの言語や文化も大切にしてほしい」という願いと、多様な違いを理解できるように育んできた日々の経験談が語られました。
支援者のセッションでは、富山・石川・福井から専門家が集結。学びのサポート体制や自治体による支援の差といった課題が共有される一方、外国ルーツの人もそうでない人も地域の一員として暮らしていくために、「支援者が共に地域へ出向き、交流の場を積極的に作っていく」という次なる一歩に向けた取り組みが力強く発信されました。

支援者のセッションでは、富山・石川・福井から専門家が集結。学びのサポート体制や自治体による支援の差といった課題が共有される一方、外国ルーツの人もそうでない人も地域の一員として暮らしていくために、「支援者が共に地域へ出向き、交流の場を積極的に作っていく」という次なる一歩に向けた取り組みが力強く発信されました。

対話がもたらす未来への希望
「まだまだ話し足りない!もっと話したいね!」ユースたちはラジオを明るく締めくくりました。
今回のキャラバンで届けられたリアルな声は、支援者だけでなく、福井駅を訪れた多くの人にも届いたはずです。この対話の輪を全国へ広げるとともに、ベネッセこども基金ではこれからも、外国ルーツを持つこどもたちの学びを支え続けてまいります。
構成/中屋葉月