公益財団法人ベネッセこども基金

コラム

防犯 外出自粛と防犯対策

子どもの安心・安全を守る活動

安全インストラクター武田信彦のコラム
「一般市民による防犯とは?」(第42回)

新型コロナウイルス感染拡大防止で、教育現場に広がる混乱


 新型コロナウイルスの感染防止対策が長期化しています。感染が広がる中、政府は「緊急事態宣言」を行い、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、福岡県が対象地域となりました(2020年4月7日現在)。一人ひとりの意識を高めて、より一層の感染予防を行い、一日も早く収束することを願うばかりです。
 そして、教育現場でも混乱が続いています。4月から学校が再開した地域、休校措置を延長する地域、時差登校や短縮授業を行う地域など、その対応もさまざま。特定の登校日を設けるなど、イレギュラーな通学も発生しています。この状況が続く中で引き続き重要なことは、子どもたちの防犯・安全対策です。このコラムでもすでに掲載していますが、留守番・外出時の対策「一斉休校における子どもの防犯対策」、さらにインターネット利用における注意点もぜひ確認しておきましょう「新型コロナウイルスによる学校休業中におうちの方ができること。」

自粛が続く中、お子さまの外出には付き添いを


 緊急事態宣言を受けて、より多くのみなさんが外出自粛やリモートワークを行うこととなりました。大変な状況ではあるものの、自宅に大人がいることは、子どもの安全にとってはいちばんよいことです。一方、もし通学等でお子さまが外出する機会があれば、ぜひ付き添うことをおすすめいたします。大人は自粛、子どもは通学...の環境下では、社会的にも地域的にも「空白」が広がっています。空白とは、「子どもだけの状態になりやすい環境」という意味です。子どもだけの状態では、屋外であってもいわゆる密室状態となり、わいせつなどの犯罪被害に遭いやすく、リスクも重大化する危険性があります。ちなみに、警察庁が発表した調査研究(※1)からも、子どもだけ(複数含む)での状況で被害に遭いやすいこと、大人の女性では約9割がひとりでいるときに被害に遭っていることなどがわかります。

 本来子どもの安全は、社会全体で取り組み、守るべきものです。平常時の登下校では、多くのみなさんの善意の見守りがあることでしょう。しかし、外出自粛が続く中では、街にいる人が減り、空白=密室状態が広がることが懸念されるのです。子どもの外出にはなるべく付き添う、大人だけで外出する際も周りに意識を向けて安全を確認する、などの防犯習慣をしっかり身につけておくことをおすすめいたします。

うさぎママのパトロール教室

うさぎママのパトロール教室主宰
安全インストラクター

武田 信彦 さん

犯罪防止NPOでの活動を経て、2006年より安全インストラクターとして活動を開始。「市民防犯」のパイオニアとして全国で講演やセミナーなど多数実施中。子どもたちを対象とした「安全ワークショップ」も好評を得ている。
著書には「SELF DEFENSE 「逃げるが勝ち」が身を守る」(講談社)ほかがある。

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