助成団体紹介
2019活動報告|SchoolTaktを使った人材育成
特定非営利活動法人寺子屋方丈舎
報告者:フリースクール担当 鈴木篤さん
2019年度の活動テーマ、「どの子も社会参画ができる組織基盤整備事業」を行うボランティア・スタッフの人材育成の様子とSchool Taktを使ったMDPSワークの実施についてご報告いただきました。
団体紹介
【こどもの社会参画】をミッションとして1999年に設立された、福島県会津若松市の団体です。
設立以降200人以上のこどもの学びを【フリースクール】にて支えてまいりました。
2003年には環境教育事業【自遊学キャンプ】を開始。その後、未就学児を対象にした【森のようちえん】、様々なこどもの居場所となる【こども食堂】など、こども主体の学びの場をつくる多様な事業を行なってきました。
2020年からは、全国のどこからでも参加が可能な【オンラインフリースクール】、郡山市を拠点とした【フリースクールトレーラー】を開始するなど、新たなこどもの居場所・学びの場を創出しています。
当団体の実践する 【こども主体の学び】には正しい答えは必要ありません。スタッフとこどもたちが対話を通し、一緒に作り出すのが当団体の考える「学び」です。
よりより社会を築くために、1日1日をより幸せに生きるために、私たちはこどもたちの社会参画を支援してゆきます。
概要
スタッフの人材育成を目的に、毎週金曜日の1時間でSchoolTaktを用いた1週間の振り返りワークを実施しています。ワークにおいてはPDCAサイクルに基づき、当初の計画、実行内容とその結果、結果に対する自己評価と気づき、次週に向けた改善を意識し振り返りを行います。
1週間ごとという短いタームでの振り返りを行うことでより具体的な業務改善が可能です。また、その場でスタッフ同士での意見交換を行うことで自己認知を広め、新たな気づきを得ることができます。
また、「大川小学校の例から考える命を守る学び」「『公教育をイチから考えよう』から学ぶオルタナティブ教育についての学び」「大久保寛司氏から学ぶ組織本質論」など、様々なテーマ学習も実施し、スタッフ個々のスキル向上の機会も設けています。
各事業の見直しワーク
これらSchoolTaktを用いたスタッフ人材育成の中でも、数ヶ月をかけて丁寧に取り組んだのが、MDPSグラフに基づく各事業のマネジメントの見直しワークです。ワークにおいては、初めに「フリースクール」「こども食堂」など事業ごとのグループに分かれ、グループワークから開始しました。
まずは各事業を「集合変数(対象)」とし、変数に対する「コントロールパラメータ(影響要因)」を設定。MDPSワークにおいては、対象は多数のパラメータから成立していると捉え、個々のパラメータの働きと相互作用の状況を分析、それらの理想的な在り方を定めることで、対象の理想的な状況を目指します。
フリースクールのグループでは、スタッフ間のブレインストーミングを通して影響要因を挙げた後、SchoolTaktのコメント機能を活用して「こどもMTG」をはじめとする8つの要素まで絞り込みました。それを他グループと共有、意見交換を行った後、影響要因同士の相互作用を洗い出しました。特に、「こどもMTG」と「プログラム」の反復を通してのこどもの学びの多様化、「保護者相談機能」と「協力者」を結びつける事での相談機能の向上など、事業運営において肝要な作用を再認識することができました。
効果
このワークを通して得られた大きな効果は以下の通りです。
①こどもMTG内ワークの質の向上による、こどものニーズベースのプログラムの多様化(計7つのプログラムの誕生、内5つが定着化)
②協力者の親の会や不登校を考えるイベントへの参加による保護者相談機能の強化
③プログラムの充実とその発信による不登校理解の広まり
④こどもの学びの充実による関係機関に対するフリースクールの信用性の向上、それを元にした出席認定の交渉
このMDPSシートを定期的に見返すことで、スタッフの行動変容が生じ、事業の理想像への近づきが見られています。
鈴木 篤さん
千葉で生まれて、震災後東北で、こども支援の活動をしています。
こどもたちと一緒に活動して、お互いに学び合うことを大事にしています。今回はスタッフの育成やスクールタクトを使った学習の仕組みづくりを行なっています。
誰もが元気になれる場作り実践中!