助成団体紹介
事業紹介|医療的ケアを必要とする子どもたちの"食"の世界を広げるプロジェクト
特定非営利活動法人i-care kids 京都(京都)
医療的ケアを必要とする子どもたちの"食"の世界を広げるプロジェクト
【重点実行項目】
① 保育園スタッフ、関係者の研修会の実施
② 医療的ケアの必要な子どもたちと食べ物を育てる、五感で触れる、食べる活動の実施
③ 医療的ケア児と食育に関する家族向け講座の実施
529千円
【選考にあたっての評価点】
生きることに欠かせないが、医療的ケアを必要とする子どもたちにとって楽しい体験が少ない「食育」にフォーカスした独自モデル性
医療的ケア児と食育
団体紹介
NPO法人i-care kids京都は、2019年1月に設立された新しい法人です。近年急増している「医療的ケア児」とその家族の支援をするために設立されました。
役員は、医療的ケア児家族が半数以上、そこに医師、看護師、幼稚園園長、保育士が加わっています。会員は、医療、福祉、療育等の関係者が中心となっています。
i-care kids京都は、次の4つのミッションを大切にしています。
① 医療的ケアを必要とする子どもたちに安心・安全な場所で一人一人の発達やニーズにあった保育を提供します。
② 医療的ケアを必要とする子どもたちのお父さんとお母さんが当たり前に自分の仕事を続けられる社会を作ります。
③ 医療的ケアを必要とする子どもと家族が孤立しない社会を作ります。
④ 医療、福祉、療育などの各関係機関と連携し、医療的ケアの必要な子どもたちと家族が安心して暮らせる社会を作ります。
助成事業の概要
◆課題の背景
近年、新生児医療の発達とともに、人工呼吸器や胃ろうなどの医療ディバイスを使いながら生活している医療的ケア児は急増しており1万9700人ほどいると言われています。子どもたちの間で共通しているのは、長期に渡って病院に入院していたことによる様々な体験の不足です。
中でも、「食」に関しては、病院での食事制限や、鼻に入れたチューブや胃ろうからの栄養摂取をしなければならないなど、健常児に比べて、「痛み」を伴うものであったり、体験の幅が限られるものになります。病院では医療的ケア児には既存の栄蓑剤を提供することも多く、豊かな食生活を送る機会を奪われていることも少なくありません。
そこで私たちは、「医療的ケア児と食育」をテーマに、食べることを通して医療的ケアの必要な子どもたちと共に豊かな体験ができないかと考えました。2020年4 月に開園する小規模保育園「キコレ」は、小さなお庭を作ることができる場所を選んだということもあり、お庭に実のなる木を植えたり、菜圏を作って食べ物を子どもたちと育てるという体験活動をして、自分たちが育てたものを触り、においをかいだり、それを料理して子どもたち一人一人に合った方法で"食べる"ことに取り組んでいきたいと考えています。
また、スタッフ、関係者が「医療的ケア児と食育」について学ぶ研修会、言語聴覚士や管理栄養士、歯科医などの専門家を招いての家族向け講座など、保育の中だけではなく、家族支援事業の一環として、園児だけでなく、京都市内に住む100名弱の医療的ケアを必要とする子どもたちと家族にも幅広く機会を提供したいと考えています。
助成事業のポイント
◆解決の方向性
「医療的ケア児と食育」
①保育園スタッフ、関係者の研修会の実施(支援レベルの向上、関係機関・関係者の連携体制の構築)
②医療的ケアの必要な子どもたちと食べ物を育てる、五感で触れる、食べる活動の実施(多様な食の体験を広げる)
③ 医療的ケア児と食育に関する家族向け講座の実施(支援レベルの向上、家族との連携体制の構築、楽しみの提供)
◆期待される効果
1. 保育園スタッフ、関係者が医療的ケア児の食育について学び、どのような取り組みができるかをそれぞれの専門的見地から知識と経験を共有することができる
2. 医療的ケア児が食べることについて、育てる、五感で触れる、食べる体験を広げることができる
3. 医療的ケア児の家族が言語聴覚士、管理栄養土、歯科医師などの専門家から食についての講座を受けることで、自分の子どもの普段の食生活を見直したり、質を高めることができる
4. 食を通した活動で家族同士の横のつながりをつくる
5. 地域や全国にこの活動が広がり、他の施設での取り組みのモデルとなり得る
アートセラピスト・保育士・特別支援教育教員免許取得・医療的ケア児家族
藤井 蕗さん
京都教育大学発達障害学科卒業後、ドイツ、スウェーデンにて障がい児・者の支援に携わる。2004年英国ハートフォードシャー大学大学院アートセラピー科修了。帰国後、医療法人にて発達障がい児、高齢者、緩和ケアの領域でアートセラピーを実践。二男・旅也が18トリソミーを抱えて生まれてきて、在宅移行する際に退職。著書「a life 18トリソミーの旅也と生きる」(クリエイツかもがわ出版)。自分自身の体験を通して、障害や病気を抱えた子どもを授かったとしても、お母さんたちが自分の仕事を続けられる社会にしたい、自分たちと同じような体験をしている子どもたちや家族たちのプラットホームとなるような場所を作りたいと考え、「i-care kids京都」を立ち上げた。