公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

事業紹介|香川県内におけるがんや難病の子どもとその家族のケアサポート事業

病気の子どもと家族を孤立させない支援団体NPO 未来ISSEY

病気・障がいを抱える子どもの学び支援

香川県内におけるがんや難病の子どもとその家族のケアサポート事業


【重点実行項目】

①チームグッドブラザーに参加するスタッフ・ボランティア育成研修の実施
②対象者への学習支援・イベントの実施
③広報用ムービーの作成


【助成金額】

1,990千円


【選考にあたっての評価点】

病気の子どもと年齢の近いグッドブラザーによる支援を体系化するためのプログラムへの期待


難病の子どもとその家族のケアサポート



団体紹介 助成事業の概要 助成事業のポイント

団体紹介

「NPO 未来ISSEY」は、18歳までの小児がん・心臓病など慢性的な疾患をもつ長期入院・治療が必要なお子さんとそのご家族を支援する団体です。香川県内の病気を抱える子どもと家族を孤立させないために活動をしています。

・慢性疾患の入院や療養に必要な情報をまとめたWEB サイトの作成、運営(2019 年6 月~HP スタート)

・広報用ムービー「グッドブラザー」の作成
・コミュニケーション支援ロボットオリヒメを使ってのコミュニケーション補助事業
・現状を知ってもらうための講演・広報活動
・「チームグッドブラザー」スタートのための準備活動

助成事業の概要

    ◆課題の背景

    香川県内において小児がんや心臓病など慢性的な疾患をもち、長期入院や治療が必要な子どもやその家族の数は20~30 家族程度と少数である。彼らは突然経験することになった病気、治療に対する不安や負担、学習の遅れ、制限された生活など数々の困難を背負っている。病気・治療に対しては医療従事者に相談できるが、学習の遅れや制限された生活の悲しみと苦しみについては看護師や院内学級の対応だけでは不十分であり、社会から孤立した中で治療生活を過ごさなくてはならない。

    慢性疾患や難病での入院治療は、長期の教育・学習の空白を生んでいる。病棟保育士のいる病院や院内学級のある病院(香川県内では特別支援学校の併設1校、院内学級配置3校)での治療を選択した場合は遊びや学習の支援が受けられるが、一般病院入院・治療中の制限・自宅療養等の状況下に置かれている場合では支援がほぼないのが現状である。子どもの心の成長に必要な「年齢の近い人とのコミュニケーション」「学習意欲と学年相応の学習内容」が欠けることは本当に大きな問題であり、この問題が治療後の復学の壁となっている場合もある。特に小学校高学年から高校生については学習面のサポートや心理的ケアが難しい時期でありながら対応できる人材・団体が皆無である。(2018 年上半期・香川県内)

    また、感染症対策のためお見舞いの入室ができないきょうだい児の存在も家族の悩みである。患児同様、彼らの心理的ケアができる人材はいない。従って、本団体は香川県内の小児病棟内と自宅療養において、患児の心理的ケアと学習支援、きょうだい児の心理的ケアを専門とする人材(学生ボランティア)が必要であり、その人材を育成・統括する企画運営部の準備が必要と考えている。

    さらに、継続的な支援には資金が必要となるが少数であるが故、認知度も低く寄付等も集まりにくい。そのため、長期入院や治療が必要な子どもやその家族の現状を分かりやすく伝える活動を継続的に行っていく必要がある。

助成事業のポイント

◆解決の方向性

本団体内で子どもたちと関わる学生ボランティアを「グットブラザー(以下GB)」と命名している。GBの総称を「チーム グッドブラザー(TGB)」とする。TGBは上記のような状況にある子どもたちに学習の支援や、ボードゲーム・制作活動・交流行事等でのコミュニケーションの場を提供する。子どもたちに近い年齢のお兄さん・お姉さんが遊びに来てくれたり勉強を教えてくれたりすることで、入院中・家庭療養中の不安を少しでも和らげたい。

支援はGBが病院の小児科病棟内に定期的に訪問し、ベッドサイドやデイルーム・プレイルーム等で行う。入室できないきょうだい児にもデイルームで学習や遊びに加わってもらえる。また、退院後外来に訪れた子どもには病院内別室で学習支援を行う。年間数回の交流行事をGBと共に計画・運営し、同じような経験をしている子どもやその家族が互いに交流できる場をもつ。以上を2020 年4 月に本格実施するために、以下の準備が必要と考える。

⑴ TGB企画運営部立ち上げ・打合せ(TGB人材募集と病院内活動のための交渉・打合せ)
⑵ TGB育成研修会とプレ活動の実施・反省(2019 年度内)
⑶ 2020 年4月以降育成研修会の定期実施と院内学習支援開始


最も活動に制限のかかった患児の場合は、子どもと学校等をつなぐコミュニケーションロボット「OriHime」を導入・活用する。この事業については、これまでの半年以内に院内学級・病室と原籍校・特別支援学校をつないだ実績をもっており、成果をあげている。

またこうした活動が香川県内で始まっていることを必要な方に届けるため、広報として映像を作成・配信上映する。同時に慢性疾患を抱える子どもとその家族、きょうだい児等の現状を一般の方に知ってもらうことにより、ボランティアの募集や寄付の獲得につなげていく。

◆期待される効果

少数であるがゆえに対応がなされていなかった香川県内においてTGBが関わることにより、患児が学生ボランティアとの関わりを土台に、寂しさの緩和・病気への積極的な向き合い・学習意欲の向上につなげることができると考える。学力の確実な定着は復学へ向けての大きな力となり、病気をきっかけとした不登校・引きこもり等の二次的障害を防ぐことにもなる。加えてオリヒメの導入で友だちや院外の先生方・会えない家族とのコミュニケーションが取れたり、GBがきょうだい児のケアも兼ねたりすることで、保護者の心理的不安も少しでも和らげたい。

TGB活動時は必ず事務局企画運営部員が同伴する。メンバーは慢性疾患の家族をもった経験者や有識者で構成されており、子どもの様子を見ながら保護者の相談にのったり話を聞いて共感することができる。保護者にとってもストレスの軽減につながり、闘病生活の励みになると考える。映像配信・上映によるボランティアの利用促進と、社会のこの問題への関心の高まりにも期待している。





病気の子どもと家族を孤立させない支援団体NPO 未来ISSEY

代表

吉田 ゆかりさん

中讃ケーブルビジョン株式会社にてアナウンサーとして勤務ののち、株式会社インペックスの専務取締役として婚礼やイベント司会等で活躍。次男の闘病経験を経て、香川県で同じような状況の子どもや家族の力になりたいと2018 年11 月に非営利団体NPO 未来ISSEY を設立。自身の経験を活かし、慢性疾患により長期入院や療養をしている子どもたちの学習・学び体験の場を作っていく活動や家族の相談事業に注力している。またその子どもや家族の現状を講演活動や映像制作・上映を通じて広めている。



2020年度<重い病気を抱える子どもの学び支援活動助成>採択団体一覧

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