助成団体紹介
2020活動報告|養成校(大学短大専門学校など)への出張授業の拡大について
特定非営利活動法人 チャイボラ(東京)
2020年度の活動の実行項目の1つである「養成校(大学短大専門学校など)への出張授業の拡大」の進捗についてご報告いただきました。
2021年度事業紹介|社会的養護施設の子どもたちへ学習支援体制を構築するために
2020活動報告|養成校(大学短大専門学校など)への出張授業拡大について
1年目の重点活動<情報発信>が大切な理由 1年目の重点活動<情報発信>の結果 出張授業のエピソード 1年間の総括と2年目に向けて
1年目の重点活動<情報発信>が大切な理由
児童養護施設は、国と自治体から降りてくる予算の中に広報費という勘定科目が存在しない。そのため、情報発信が他業界と比較して弱い。
これらの課題認識から、1年目は以下の内容に力を入れて活動した。
①社会的養護施設で働くことができる資格取得学生が、施設の存在、仕事、現状について知り、興味を持ってもらうこと
②関心のある方と施設を確実につなげること
③各施設が確保したい人数採用が決まること
④職員の離職を防ぐこと
1年目の重点活動<情報発信>の結果
■養成校への出張授業の実施状況(2020年度実績)
訪問学校数:9校
実施授業数:20コマ
参加学生数:771名
■出張授業の内容
授業を実施する学年や学校によって様々ではあったが、主に下記の内容で実施する事が多かった。
◯日本の社会的養護の現状について(講義形式やクイズ形式など対象によって変動)
○児童養護施設について(チャイボラ制作の動画視聴など)
◯児童養護施設職員による施設の仕事のやりがいや苦労。子どものとの関わりに関するエピソード
◯子どもへの対応に関するワーク
◯児童養護施設での実習について
出張授業以外にも認知拡大の活動は広げており、主に下記のような活動を行った。
■施設との合同オンラインイベントの開催(合計3回開催)
■一般向けのオンライン学習会を開催(合計4回開催)
■施設職員向け(一般職員・管理職)の学習会を開催(合計6回開催)
■複数の施設様と合同オンライン施設説明会を実施(合計2回開催)
出張授業のエピソード
大半の授業で児童養護施設への就職を検討している学生は少なく、授業開始時は明らかに興味がなさそうな態度を取る学生もいる。
しかし、施設職員から語られるリアルな子どもたちとの関わり(時にはぶつかり、時には支え合い、共に成長する存在であること)、子どもたちへの熱い想い、長く関わることで知ることができた子どもの成長とそこから生まる感動エピソードを聞くうちに、徐々に表情や目つきが変化し、頷きながら話を聞き、授業後には目をキラキラさせて駆け寄ってくる学生がいる。
そんな学生の多くが口にするのは「施設のこと今日初めてちゃんと知りました!アルバイトやボランティアはあるんですか!?一度行ってみたいです!」。興味がないのではなく、知らないのだ。地道ではあるが、実際に施設職員からリアルな話を聞くのは学生にとって大きな衝撃となる。チャイボラは引き続き施設職員と連携し出張授業の展開をさらに拡大していきたい。
1年間の総括と2年目に向けて
2020年度は施設への就職数を伸ばす具体的な流れを見出すことができた。
①出張授業:施設そのものへの認知拡大と興味関心を高める
②チャボナビ:興味を持った学生に施設の情報を届ける
③施設見学会サポート:実際に施設の中に入ることで理解を深めるといったニーズの掘り起しから施設への理解を深め就職までつながるメソッドが確立できた。
2年目以降はさらにエリアを拡大し活動を展開していく。児童養護施設における人員不足の解消を継続して行っていくとともに、人員が増え、安定したことで得られる人的余裕を確保した前提で、施設間格差のない学習支援を行っていきたい。
大山 遥 さん
2009年4月ベネッセコーポレーション入社。破棄される教材を児童養護施設に寄付しようと思い施設に問い合わせをした際に深刻な職員不足の現状を知り退職。夜間の保育士専門学校に入学し日中は非常勤職員として働き始める。学生の動きと施設内部の現状を両面から見ることで課題が明確になり、クラスメイトとともにチャイボラを立ち上げる。