助成団体紹介
2020活動報告|母語教育の必要性と2020年度の取り組み
認定特定非営利活動法人茨城NPOセンター・コモンズ
代表理事 横田能洋さん
2年目の助成期間を終え、実行項目の1つである母語教育の普及活動についてご報告いただきました。
事業の詳細などは以下からご覧ください。
助成事業の概要|外国籍の子と保護者が相談と学習の機会が得られる地域の支援
母語教育の必要性と2020年度の取り組み
母語教育が必要なわけ 母語の重要性が4言語に翻訳。冊子版・ウェブ版が完成 ブラジル保護者向け講座 常総市以外の近隣の8市への広がり 2021年度の活動について
母語教育が必要なわけ
幼少期に本の読み聞かせなどで母語での思考力、想像力を育むことが日本度習得にも役立つ。話せているから大丈夫と家での母語教育をしないままだと、日本語も話せても深い思考ができず、母語も日本語も伸びないことになりやすい。しかし、その必要性がまだ保護者や支援者に、理解されていないという現状がある。
母語の重要性が4言語に翻訳。冊子版・ウェブ版が完成
茨城県教育委員会生涯学習課が乳幼児健診を受ける全保護者に配布している子育て啓発冊子の多言語化を受託する中で、外国語版(英語、中国語、タガログ語、ポルトガル語)には母語教育の重要性や、やり方を追加で掲載することを提案し実現した。県のサイトにそれらが掲載されている。
ブラジル保護者向け講座
コロナ禍で開催が危ぶまれたが、臨床心理士の資格を持ち、子どもの発達に関する相談活動もしているブラジル人の方を講師に招き、ポルトガル語での子育て講座を3回実施した。
常総市以外の近隣の8市への広がり
下妻市、坂東市、つくばみらい市、守谷市、つくば市、結城市、古河市、筑西市の近隣8市の保健センター(乳幼児健診や予防接種などを行う機関)で、外国籍の保護者と接する担当者に、保護者向け多言語資料、福祉制度案内などを周知してもらうために協力依頼をしつつ、外国籍の保護者との意思疎通面での課題などを伺い、連携につなげる活動を行った。
1歳半健診の会場で直に外国籍の保護者向けに説明が可能な場合に、出前ミニ講座も行うことができた。
2021年度の活動について
多くの家庭では母語で会話しYouTubeなどで母語のアニメやニュースや音楽が流れていると想定できるが、絵本の読み聞かせがどれくらい行われているかSNSなどをつかった調査を試みたい。
また他地域での母語教育推進の取組み事例をさらに調べ茨城でもできることを検討実施していきたい。日本の絵本をベースにした母語教材も作って保育園でも試してみたい。
横田 能洋さん
地元の常総市が外国人集住地域だったため、10年前から日系ブラジル人などの方々と関わるようになり、外国ルーツの子どもの就学相談や進学支援をしてきました。2015年に鬼怒川水害で被災した後は復興支援にも取り組み、空き家を改修して多文化保育や学童保育も始めました。子どもたちのバイリンガルの可能性が引き出され、その存在が豊かな地域を作ると考えて、保育、教育と地域づくりに取り組んでいます。