公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

【助成団体活動見学】i-care kids京都によるシンポジウム「医療的ケア児×食べること」に参加しました

特定非営利活動団体 i-care kids京都

病気・障がいを抱える子どもの学び支援

医療的ケア児を積極的に受け入れる保育園を運営するi-care kids京都によるシンポジウム「医療的ケア児×食べること」が、12月4日(土)に京都市で開催され、ベネッセこども基金事務局より青木、伊藤が参加しました。


医療的ケア児の食を通した育ちについては、まだまだ分野として新しく、先進的な取り組みをされているi-care kids京都さんの取り組みを保育、医療、行政、ご家族など様々な立場の方が大変熱心に聞き入っていました。
※2021年度重い病気を抱える子どもの学び支援活動助成事業「医療的ケアを必要とする子どもたちの'食'の世界を広げるプロジェクト」の一環で行われました。

シンポジウム概要

開催日時
2021年12月4日(土)14:00~16:00
場所
ひとまち交流館京都(京都市)2F大会議室
参加者数
定員80名満席
シンポジウムの様子。場でのイベントが久しぶりなこともあり、再会を喜ぶ姿も見られました。


「食べること」への想い~i-care kids京都 代表理事 藤井蕗さん~

障がいを持って生まれた藤井さんの次男の育児で大切にしたことは、家族と一緒に食事を楽しむことでした。食道が途中までしかなく、食事は胃ろうですが、ただ栄養剤を胃に入れるのではなく、家族が食べる食事をペースト状にして、口に入れて味わってもらってから胃に入れるなど、家族と一緒に食事を楽しむ過程でいろいろな成長が見られたと言います。
お子さんが亡くなった後、医療的ケア児を積極的に受け入れる小規模保育園「キコレ」を立ち上げますが、保育園でも「食」を大きな柱と位置付けたのは、そのような体験からとのことです。




キコレの食育~管理栄養士 秋山友佳さん~

小規模保育園キコレは保育指針に「障がいや病気があってもなくても、五感を通して豊かな『食の体験』を積み重ねます。」とあります。
日々の給食では、医療的ケアの状態に合わせて、ペースト食、ミキサー食、刻み食など、個別に食事を提供されていますが、特に大切にしていることはみんな同じものを食べ、みんなでおいしいねと言い合うことだそうです。
医療的ケア児の食事では、「できることは何か」「必要な配慮は何か」をスタッフ間でしっかり打合せすることがポイントで、年間の保育計画と同じように、キコレでは食育の年間計画を立てて、すこしずつ食の世界が広がるようにスタッフ一丸となって取り組んでいるそうです。
他にも、ミキサー食の料理のコツや園での食育活動、災害時への食の備えなどをご紹介くださいました。




基調講演「食べるって楽しい」~小沢浩先生~

続いて、胃ろうでのペースト食や経管でのミキサー食を積極的に取り入れておられる、島田療育センターはちおうじ所長小児科医師の小沢浩先生から、ペースト食、ミキサー食について、効能や特徴、長所短所、家庭や施設で取り入れる際のポイントを実践事例をもとに詳細にご説明いただきました。(詳細は下記動画 22:30~をご覧ください。)
東京都立肢体不自由特別支援学校において、令和3年度から希望する児童生徒には、胃ろうからのペースト食が学校で取り入れられることになるなど、医療的ケア児の食の重要性は注目され始めています。
近年、家で暮らす医療的ケア児が増加しているからこそ、医療的ケアが必要であっても、家族と共に、安心して楽しく「食べる」ことができる環境づくりが必要だと、強調されていらっしゃいました。
また、「命の授業」と題して、障がいの有無に限らず、命というものの尊さを小学生に伝える授業をご紹介くださいました。その中で、健常と障がいと分ける教育の中で、障がいのある人に出会うという経験が少ないことが偏見を生むので、障がいのある方の事を知ることが大切だと考えているとおっしゃっていました。

マジックなども交えながら、温かいお人柄がにじみ出るご講演をしてくださった小沢先生



代表藤井さんが会の締めの言葉でおっしゃっていた「大人も子どもも、食べることって楽しいですよね」という言葉がシンプルですがとても印象的でした。大人も子どもも、障がいがある子もない子も、食にまつわる楽しい時間を一緒に過ごす日々が、子どもの安心感となり、興味や好奇心を刺激し、成長につながっていくのだと感じました。
感染症が落ち着くタイミングを待って、オンラインではなくリアルでの実施にこだわって行われた今回のシンポジウムでは、会終了後も活発な情報交換が行われたようで、新たな横のつながりも多く生まれていました。
キコレでの取り組みをきっかけとして、医療的ケア児のよりよい学び・育ちが広がっていくよう、これからも応援していきたいと思います。



シンポジウムの様子はこちらからご覧いただけます。


(約100分)



「キコレ」での食育については、こちらのブログでも管理栄養士秋山さんがノウハウを発信しています。ぜひご覧ください。

キコレのごはん

i-care kids京都の助成事業についてはこちらをご覧ください。

2021年度事業紹介

参加報告:ベネッセこども基金事務局 伊藤

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