助成団体紹介
最終活動報告|生きる力を育む学びの場と尾張北部地域の子ども支援ネットワークづくり
特定非営利活動法人シェイクハンズ
2019~2021年度の助成期間を終えられた特定非営利活動法人 シェイクハンズより、3年間の取り組みと成果についてご報告いただきました。
事業目的:子どもを取り巻く多様な困難を少しでも取り除き、応援をしていくために、直接的な学習支援ばかりでなく、内発的な学習意欲を引き出し、「生きる力を育む体験」活動を取り入れ、地域ニーズにも即した子どもの居場所づくりを目指す。また、その継続のために、尾張北部地域の子ども支援団体の連携で、より一層の充実した支援を目指す。また、空白地域の新たな立ち上げへの協力なども視野に入れる。
助成事業の概要|生きる力を育む学びの場と尾張北部地域の子ども支援ネットワークづくり
外国ルーツの子どもたちの内発的な学習意欲の向上と地域の支援力の向上を目指したシェイクハンズさん。
コロナ禍でも休みなく活動を工夫して続けて、1つの学習支援教室から、3年間で農園を中心にした子ども、家族、地域が自然と交流する地域と、広域の支援者ネットワークを作り上げられました。
3年間の成果をもとに、2022年度は日本財団の支援を受け、外国ルーツの子どもたちだけではなく、様々なこどもの居場所としてステップアップした活動が始まっています。シェイクハンズさんの活動の広がりを、これからも見守っていきたいと思います。
1年目の活動内容と結果 2年目の活動内容と結果 3年目の活動内容と目指す状態 3年目の結果 課題および今後の展望
1年目の活動内容と結果
① 学習支援の場の運営。ボランティアの指導力向上の為に、定期的な運営会議の開催で、指導方針や方法の共有化を図り、学習支援の場(寺子屋)で、それに基づく学習支援をする努力をした。
② 地域特性を活かした「生きる力を育む体験=コミュニティ農園づくり」を実施し、その為、地域の団体や人への協力・連携を進めた。
③尾張北部で、子育て支援団体や困窮者支援団体、子どもの日本語支援団体等のネットワーク化に向けた、定期的な場(会議)の開催に向けて準備を重ねた。
<結果>
① 定期的な運営会議の開催ができ、ボランティアの出席率も上がった。子どもの状況の情報共有が進み、指導に一貫性が出てきた。
②「コミュニティ農園」が反響を呼び、様々な人を巻き込みながら、体験活動ができるようになった。作物の生育も順調にいった。
③尾張北部で、10団体がネットワーク化に向けた会議=ネットワーク会議に参加し、定期的に運営を始め、情報共有が進んだ。
※後半は、コロナ禍で翻弄されたが、「寺子屋の代替えの弁当付き、プリント配り」「農園での野外活動」等により、活動を休止することなく、継続できた。
2年目の活動内容と結果
① 毎月の定期的な運営会議の継続しながらの学習支援の場の運営。年度初めは、コロナ禍による弁当付きプリント学習の継続。
② 生きる力を育む体験の場=コミュニティ農園で、コロナ禍に負けず、活動を続け、より一層地域との連携を深めた。作物の販売の場の確保をし、広報に努めた。
③ 尾張北部で、子育て支援団体や困窮者支援団体、子どもの日本語支援団体等のネットワーク会議を定期的にオンライン開催した。(全6回)
<結果>
① 定期的な運営会議の継続で、より一層、子どもの状況の情報共有が進み、指導者の熱意が高まり、コロナ禍にあっても、子ども達の学習意欲もあがり、参加率も良かった。公立高校を希望した中3生の公立合格率は、100%になった。
②「コミュニティ農園」の多様な活用、ヤギ人気も加え、コロナ禍で地域の居場所になりつつある。より一層関わってくれる人・団体も増え、作物の売れ行きも徐々に上がってきた。
③ネットワーク会議に、尾張北部以外の先進地(可児市国際交流協会)が参加したことで、県をまたいでの情報交換もでき、より一層の情報共有になった。またコロナ禍で研修等が出来ないなか、各団体の事例を持ち寄り、まさに、研修の場となった感。
※今年度もコロナ禍で翻弄されたが、学校休業下での「寺子屋の代替えの弁当付き、プリント配り」の継続、「農園での野外活動」等により、地域コミュニティにも貢献できた。
3年目の活動内容と目指す状態
「生きる力を育む体験」活動を軸とした居場所運営の継続に向けた最終段階。本活動の総合的な検証と反省ができている状態
3年目の結果
「生きる力を育む体験」活動を軸にした 居場所づくりと学習支援は、相乗効果が得られ、コロナ禍においても参加者が激減することもなく、一定の学習効果も得られた。一方で、報告会等が開催出来ず、反省等が可視化できていない。ネットワークの継続と共に、報告書作成を続ける。
成果としては、
① まず、学習支援の場では、スタッフの運営会議が定着し、子ども達への指導力が上がり学力の向上、進学率に繋がったこと。
② また、子ども支援をする団体のネットワークによる情報共有等が進み、ネットワークでのフォーラムが開催できたこと、団体の研修の場・人材育成の場にもなったこと。今後の継続も約束できた事があげられる。
③そして体験の場としての「コミュニティ農園」の存在が、地域の居場所として、この事業に、重要な役目を果たしたことが大きい。コロナ禍での子ども達や高齢者の健康的な居場所となったことで、口コミで存在が広がり、大学からの体験授業の申し込み、ボランティア参加の増加、困難をかかえる子ども達の存在のアピール、寺子屋への参加、地域の団体同士のつながりを促し、この事業全体の広報の役目を自然に果たしていたのではないか。
課題および今後の展望
課題としては、今後の運営について、資金調達の道が半ばなことが最大の課題。農園の作物による収入も増えてはいるが、次年度の苗を購入できる程度。企業や会員増へのアプローチ=報告会等が、コロナ禍の影響もあり、できていないのが、最大の反省。ネットワーク団体の中には、企業の援助で送迎が始まった例もあり、本事業の成果と課題をしっかり企業や行政サイドにも伝えていく活動をしていきたい。犬山市には企業が少ないが、ネットワークの知恵ももらいながら、チャレンジしていきたい。
また、ネットワークによる活動も全団体一致で、継続できることになり、今後、互いに学び合い、子どもの抱える困難を少しでも無くすために、活動していきたい。
この3年間の活動は、コロナの中にありながら活動を休止することなく、むしろ猛ダッシュの期間となりました。
助成を頂いたベネッセ子ども基金には、大変感謝させていただき、今後とも、子ども達の困難さを減らすべく、活動するこの事業を継続していくことをご報告します。
松本里美 さん
特定非営利活動法人シェイクハンズ代表理事。 外国に繋がる子ども達と出会って、約15年。以来、学習支援の場や保育園などで、子ども達と泣き笑いの毎日です。料理が好きなので、子ども達がつくった野菜で、交流会や子ども食堂などで、 一緒につくって食べるのが楽しみです。コロナ禍で、集まる機会が減りましたが、代わりに農園で、子ども達や山羊としっかり遊んでいます!