公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

最終活動報告|外国籍の子と保護者が相談と学習の機会が得られる地域の支援システムを学校・行政・企業と連携して構築する

認定特定非営利活動法人茨城NPOセンター・コモンズ

経済的困難を抱える子どもの学び支援

2019~2021年度の助成期間を終えられた認定特定非営利活動法人茨城NPOセンター・コモンズより、3年間の取り組みと成果についてご報告いただきました。

事業目的
① 外国ルーツの子がスムーズに公立小中学校に入れるよう日本語初期指導等を行うプレクラスを常総市を皮切りに県内各地につくる。
② 日本語習得の基盤として母語教育も重要でありそのことを保護者や保育教育関係者に広め具体的な母語学習の場もつくる。
③ 就学していない児童、不登校になった児童生徒が家から出て集える場、自分の目標をみつけられるような多文化フリースクールをつくる。

助成事業紹介|学校との連携を強固にした外国にルーツのある子どもとその家族の支援から、多文化多世代交流拠点を目指す!



目標通りにはなかなか進みませんが、粘り強く行政と交渉して、3年間で着実に成果を残され、少しずつ支援を広げているのは素晴らしいと思います。常にいちばん厳しい思いをしている人たちに目を向け、即時に手当をすることと、根本的な解決を両輪で進められていると思います。今後も地域に根ざした活動を続けていただければと思います。



1年目の活動内容と結果 2年目の活動内容と結果 3年目の活動内容と目指す状態 3年目の結果 課題および今後の展望

1年目の活動内容と結果

<活動内容>
◆プレクラス:情報収集と実験を行った。
◆母語教室:ポルトガル語を学講座を企画した。
◆フリースクール:シェアハウスに入居していたニートの女子等に対して体験活動を試みた。


<結果>
◆プレクラスについては、愛知県岩倉市での初期指導のすすめ方等を実際にみることができた。
◆母語教育については、他県の啓発活動に関する情報を得ることはできたが教室に関しては参加が少なく見直しが必要になった。学校に行かなくなってしまった子に関しては少しでも興味を持てる活動が必要でヤギの世話や料理作りは場に来るきっかけにはなったが活動を継続することは容易ではなかった。

2年目の活動内容と結果

<活動内容>
◆プレクラス:情報収集を行ったほか、学校に在籍する児童に対して補習や言葉の指導を行った。
◆母語教育:群馬での取組みを保育関係者も参加するケース検討会で紹介した。県生涯学習課の親子向け子育て冊子に母語教育の情報が盛り込まれ、保健センターでの乳幼児健診会場で保護者向けの情報提供を試みた。


<結果>
◆プレクラスについては、市に働きかけ検討するネットワーク会議の設置にはこぎつけることができた。
◆母語教育については、母語での読み聞かせに使えそうな絵本の収集などは行ったが読み聞かせ講習会などは行えなかった。

県の依頼をうけ多言語の子育て情報が作成され健診などで活用されるようになった。

3年目の活動内容と目指す状態

① 常総市教育委員会と当会が連携したプレスクールの予算化について協議が具体化する。
② 常総市以外の地区において外国人保護者向けの子育ての情報提供の機会が増加している。
③ 自然体験、食、読書を通じた居場所づくりが進んでいる。

3年目の結果

プレスクール具体化という目標については、行政に企画提案まではできたが具体化していない。

母語教育についても他県の活動事例や教材に関する情報収集はできたがそれらを使って地域で普及するところまではいっていない。

ただし、フリースクールも今ある施設を活用してどんな日中活動ができるかについては色々な試行錯誤を経て、この場にあった活動がイメージできるようになった。

対象についても、当初は不登校になった外国籍児童生徒と考えていたが、本来高校に行く年代で家で過ごしているオーバーエイジの居場所や高校進学支援のニーズに多く接することにより、そうした人たちへの支援に目標を設定することができた。

プレクラスの様子
体験活動としての調理
体験活動としての動物の世話

課題および今後の展望

小中学校へのスムーズな就学環境をつくるにはやはりプレクラスが必要であり、企画書までは一応つくれたので今後は常総市での予算化に向けて市の上層部への働きかけを継続していく。また、実際に担える人財の育成のためにも自主的なプレクラス運営も行っていく。

母語教育に関しては、子育て世代向けの多文化サロンを継続してそこで出逢った家族向けに絵本の読み聞かせなどの活動を提案していくほか、母語を生かせる仕事づくりも地域の事業所によびかけていく。

フリースクールは地域に増えているオーバーエイジ向けの学びの場を定期的に開設し高校にはいりやすい状況をつくっていく。
外国ルーツが育つ環境をつくるには、小中高の縦の連携と企業も巻き込んだ面的な連携が必要になる。そのつなぎ役としてそれぞれに働きかける活動を今後も続けていきたい。



茨城NPOセンター・コモンズ

代表理事

横田 能洋さん

地元の常総市が外国人集住地域だったため、10年前から日系ブラジル人などの方々と関わるようになり、外国ルーツのこどもの就学相談や進学支援をしてきました。4年前に鬼怒川水害で被災した後は復興支援にも取り組み、空き家を改修して多文化保育や学童保育も始めました。子供達のバイリンガルの可能性が引き出され、その存在が豊かな地域を作ると考えて、保育、教育と地域づくりに取り組んでいます。

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