助成団体紹介
2022年度報告丨命を脅かす病気を持つ子どもと家族が 地域の中で学びを通して豊かに生きる ことを支える仕組みづくり
北海道こどもホスピスプロジェクト
助成期間を終え、活動の成果をご報告いただきました。事業の詳細などは以下からご覧ください。
【助成先訪問】病気とともにあるこどもとその家族を支える「北海道こどもホスピスプロジェクト」を訪問しました!
事業の目的 事業の内容 事業の結果 事業の成果 自己評価 課題および今後の展望
事業の目的
①病気とともにあるこどもがこどもらしく過ごし学べる機会、居場所の創出。
医療の進歩により小児がんは治癒する割合が高くなる一方、成長発達期に長期治療を経験したこどもたちの悩みは多様化し、治療が終わっても、普通の生活に戻る際には「再発するかもしれない」「お友達にどう説明すればいいの?」「運動ができない」...など誰に相談すれば良いか分からない複雑な悩みを抱えています。さらに、同じこどもでありながら、きょうだいはいつも様々なことを我慢しなければならない状況に...。発達過程の大切な時期を誰もが「こどもらしく」過ごすための学びや表現・遊びの場として機会を一つでも多くつくります。
②活動報告会による課題認知拡大と、取り組み成果の発信。
まだまだ知られていない「こどもホスピス」の認知拡大と必要性を、上記の実施報告とともに発信し、支援者を増やしていきたい。
事業の内容
【オンラインでの学びの場】
感染症のリスクが高いこどもを対象にしていることもあり、今年は対面でのイベントを断念し全てオンラインで実施をいたしました。
●春-オンライン工作教室
団体として、初めてのオンラインイベントでした。5歳〜10歳まで、5家族7名のご参加。みんなで一緒に万華鏡をつくりました。初めて会うこどもたち。緊張していたけど、最後はにっこりみんなで笑顔で完成しました。
●夏1-オンラインビンゴ&カードゲーム大会
前のイベント時にリクエストがあり、みんなでビンゴやクイズなどのゲームをしました。初回に参加してくださったご家族が3組いらっしゃり、画面越しでごあいさつ。仲良くわきあいあいと、発言したり表現することができました。
●夏2-サマースクール(コロナ感染リスクを考慮し対面からオンラインに切り替え)
日本貨物航空株式会社様のご協力をいただき、日本から世界中に貨物を運ぶ「はたらく飛行機」を動画で学び、中継で参加してくださったパイロットにいろんな質問をしました。質問ができないこどもも、じっと動画を見てじっくり考えている様子がわかりました。
●冬1-オンラインクリスマス会
すっかり顔馴染みとなったお友達と、クリスマス会。サンタ帽を被って参加してくれた子もいました。株式会社ダッドウェイ様のご協力をいただき、絵本作家である「くぜじゅんき」さんに絵本の読み聞かせ、クリスマス工作のデザインをご支援いただきました。
●冬2オンライン実験教室
ジャパンGEMSセンターの鴨川光さんのご協力をいただき、オンラインで「海にながれたよごれってどうやって回収するの?」という実験を行った。初めは恥ずかしくて画面オフで参加していたお友達が、最後は画面をオンにして参加し、実験結果にも答えてくれた。
事業の結果
実施イベントと、参加人数は以下の通りとなります。
1,5月1日(日)オンライン工作教室(7名)
2,7月3日(日)オンラインビンゴ&ゲーム大会(10名)
3,8月10日(水)サマースクール(コロナ感染リスクを考慮し対面からオンラインに切り替え:日本貨物航空株式会社様協力)(3名)
4,12月10日(土)オンラインクリスマス会(ダッドウェイ様協力)(5名)
5,3月15日(水)オンライン実験教室(ジャパンGEMSセンター様協力)(1名)
事業の成果
参加人数は決して多くないのですが、継続的に参加してくれる子が多く、クリスマス会ではすっかり顔馴染みとなっていました。
春のオンライン工作教室では入院・治療中で病院から参加をしていた子は、クリスマス会では自宅から参加できるようになっていました。継続的な参加が嬉しいのはもちろんですが、何より笑顔を見せていただけたことに、とても深い喜びがありました。また、別の子は、春のオンライン工作教室では、様子を伺いながら(隣にいるお父さんの方を見ながら、発言はなく、静かに参加していましたが、オンラインクリスマス会では、積極的に発言し、笑顔で心を開いている様子を見せてくださいました。
私たちの団体では、これまでオンラインイベントは実施したことがなかったのですが、ニーズがあること改めて実感しました。そして、参加のこどもたちとのつながりを続けていくためにも、これからも"オンラインの居場所"も作っていきたいと、この事業を通じて考えています。
自己評価
当初、オンラインよりも対面での遊び/学びの時間の方が、より深いものになると考えていました。実際に初めてみると画面越しにこどもたちの真剣な眼差し、はにかみながらも笑顔が見られるようになり、オンラインでの居場所づくりに希望が見えました。北海道は179市町村あり、対面でのイベントは開催場所が限られてしまいます。オンラインイベントでは拠点となる札幌、旭川以外からのこどもも参加してくれて、輪が広がった1年でした。継続的に参加してくださるこどもたちがいて、1年間で変化を感じることができ、私たち自身もこどもたちから学ばせていただいた1年となりました。ただ、こどもたちが特に楽しみにしていた「オンライン動物園(旭山動物園協力)」が実施できなかったことについては、悔やまれます。令和5年度に、こどもたちとの約束を果たせるよう、運営力をつけて頑張りたいと思います。
課題および今後の展望
昨年の10月に念願の第一歩、こどもホスピスの仮施設がオープンしました。すでに、病院と連携してご家族の利用も増えてきました。
団体としては、活動領域が広がり、輪が広がった1年でした。しかし継続的に活動していくためには、継続的な支援も必要です。
今回は、運営力の不足から、イベントに労力を費やしてしまい、報告会の実施を行うことができませんでした。
既存のスタッフ数では、マンパワーの限界を感じています。今後は、ボランティアスタッフに大学生も加わるようになったので、大学生とうまく連携しながら、組織力を上げ、団体としての信頼度を構築していきたいと考えています。
佐藤 貴虎 さん
上智大学文学部教育学科卒業
上智大学大学院文学研究科教育学専攻博士前期課程修了
The University of ManchesterにてPh.D.(博士号)取得。
現在旭川大学短期大学部幼児教育学科教授。
難病とともに生きるこどもの心理社会的支援が専門。
公職として旭川市子ども子育て審議会会長、旭川市社会教育委員会、北海道上川圏域障がい者が暮らしやすい地域作り委員、北海道幼児教育相談員エリアスーパーバイザーなど。 メイク・ア・ウィッシュのボランティアなどに参加しながら「一般社団法人北海道こどもホスピスプロジェクト」代表理事を務める。