助成団体紹介
2022活動報告|外国人散在地域での支援をサポートする「外国につながる子を対象とした日本語ICT教材」の検証・開発事業
特定非営利活動法人eboard
1年目の助成期間を終え、2022年度の活動についてご報告いただきました。
事業の詳細などは以下からご覧ください。
2022年事業紹介 外国人散在地域での支援をサポートする「外国につながる子を対象とした日本語ICT教材」の検証・開発事業
助成事業の実施背景 プロジェクトチームの分野理解 デモ教材開発と検証 今年度の総括と次年度の取り組み概要と抱負
助成事業の実施背景
日本語指導が必要な児童・生徒は約5.8万人で、2021年までの9年間で約1.8倍に増加しています。加えて、外国籍の子は義務教育の対象外であることなどから、最大約1万人に不就学のおそれがあるとされています。
こうした中、多くの現場では財源不足や人材不足等により、日本語指導体制を十分に整えることが難しい状態にあります。支援者が無料で活用できるICT教材の開発により、専門性を持った人材の確保が難しい現場での支援を拡充できると考えています。
プロジェクトチームの分野理解
支援現場へのアンケートやヒアリングを通じて、日本語指導の現場では指導時間が十分に確保されないままに指導が終了することが多く、教科学習において引き続き支援が必要な一方でその支援がないままに通常教室での授業に参加せざるを得ない子どもが多いことがわかりました。
また、その状況を課題としつつも教材やノウハウの不足から十分な支援を行うことができない現場のジレンマが見えてきました。
デモ教材開発と検証
首都圏の公立小中学校に協力いただき、試作教材の作成と利用、フィードバックを受けた教材の改善に取り組みました。複数の教科と単元において、約40種類の教材と支援パターンを試作して活用しやすい教材を模索しました結果、算数、数学について、通常教室での教科の授業での活用を想定し、平易な日本語と視覚情報による説明を基本仕様として教材を作成することを決めました。
今年度の総括と次年度の取り組み概要と抱負
本教材開発事業を開始するにあたり、先行研究および現場調査を行ったことで、現行の日本語指導制度が実現できていることと、現場が抱える課題を具体的に把握することができました。
その後、現場での試作教材の利用とフィードバック、更にアドバイザリー会議での意見交換を通して教材の目的や対象者、利用場面を明確にし、教材が解決すべき課題を捉えることができたことで、現場の先生方にも評価をいただける教材仕様とカリキュラムを作成できました。
仕様とカリキュラムが決まったことで教材作成体制も整えられたので、2023年度は教材の開発と公開、および現場での活用事例の収集を進めていきます。教材の公開にあたっては、他の企業と連携することで、より利用しやすい形で現場に届けられる形を模索したいと考えています。
中村 孝一 さん
大学在学時、学習塾や学習支援現場での経験から、子ども達の学習課題を痛感。外資系コンサルティング会社勤務を経て、eboardを創業。2016年より、世界経済フォーラムGlobal Shapers Osakaハブメンバー。