公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

2022活動報告|学習支援を充実させ、子ども食堂をプラットフォームとした子どもの貧困の連鎖を断ち切る地域モデル構築事業

認定特定非営利活動法人フードバンク北九州ライフアゲイン

経済的困難を抱える子どもの学び支援

2年目の助成期間を終え、経済的困難を抱える子ども達が負の連鎖を断ち切るために、ライフアゲインでは「孤立させない環境」づくりについてご報告いただきました。事業の詳細などは以下からご覧ください。

【助成先訪問】フードバンク北九州ライフアゲインのオンライン学習支援とこども食堂を訪問しました!




コロナ禍でのオンライン学習プログラム2年目の概要について コロナ禍でのオンライン学習プログラム2年目の結果について 産官学民の協働の輪を広げる「わが町大家族プロジェクト」について 1年間の総括および次年度の取り組み概要と抱負

1年間の総括および次年度の取り組み概要と抱負

当団体は学習支援を通して支援が必要な親子とつながり、将来を生きる力や自己肯定感の向上、それに夢を描いて大人へと成長できるよう子どもに伴走しています。しかし、以前の学習支援のスタイルは他の進学塾と差別化できず、成績重視に傾いてしまう状況に陥っていました。これまでのスタイルは月~土すべてがマンツーマン学習塾であり、対象科目も英数国理社の5科目。月謝も安価でしたが無料制度はありませんでした。しかし、2021年度に提携したステップアップ塾のスタイルを取り入れ、2022年度は試験的運用を実施し新しいスタイルに慣れる年としました。マンツーマン学習塾は土曜日のみ。講師は高校生・大学生が中心で完全ボランティアのチーム指導。教える科目は数学が中心。

大切にしているのは講師との信頼関係を築く学習前のワークショップと学習後の食卓を囲む時間。そして子ども達の自主性を養う子ども達が自分で計画した学習計画表(ステップアップシート)。月謝は世帯収入によって無料制度を設けました。平日の月~金は放課後に無料自習室を開放し、講師は伴走に徹して子ども達の自主性を尊重して見守りをします。雰囲気はBGMを鳴らしてドリンクバーを設置したcafe。わからないところは教えますが、ゆとりのある時間を使って講師と夢を語り合ったり、悩みを傾聴したりします。寄り添うことを大切にし、子どもひとり一人の個性を尊重してよりリラックスできる居場所になればと願っています。

本部外観:無料塾の横断幕

コロナ禍でのオンライン学習プログラム2年目の結果について

2022年度は新しい学習プログラムに慣れる年だったので、ボランティア講師の募集や利用する子ども達の募集を本格的には行いませんでした。 2021年度より継続して利用していた子ども達と一緒に新しい学習プログラムに取り組みました。参加者は塾の対面指導が7名、オンライン指導が9名の計16名でした。この塾生を高校生・大学生・社会人のチームが計30名ほどで学習指導をしました。

子ども達は、講師たちとワークショップで仲良くなり、和やかな雰囲気で学習に取り組んでいました。また平日の無料自習室においても月~金で各塾生が自由に計画に沿って来塾し、落ち着いて勉強に取り組んでいる様子が伺えました。休憩時間に自由に飲料水やお菓子、空腹な子どもはカップ麺やパンを食べていました。

無料塾オンライン学習風景

産官学民の協働の輪を広げる「わが町大家族プロジェクト」について

児童期は「子ども食堂」、思春期は「学習支援」を対象の親子とつながり、信頼関係を築く手段としました。 その中でも特に将来に渡って大きな影響を与える幼少期の養育を守るために、その子ども達の生活圏である小学校区に「子ども食堂」を開設し、「子ども食堂」を地域とその地域を取り巻く産官学民のつながり拠点としました。活動をモデル展開したのは当団体の本部がある八幡中央区商店街内で月1回開催される子ども食堂「ちゅうおうまち食楽福亭(たらふくてい)」。月1回「わがまち大家族プロジェクト」ミーティングを開き、どのような企画をすればまちの人々や商店街の人々が、地域の子ども達と交流し、子ども達の心に郷土愛が醸成され、まちの孤立化が防止できるかを話し合いました。

その話し合いで決まったキャッチコピーが「ただいまが言えるまち、おかえり商店街」。提案された地域通貨のネーミングは「ちゅうおうまちスマイレージ」。その通貨を使えて子どもが大喜びするのが移動式駄菓子屋のお菓子です。今後はこの通貨をつくり、運用し、まちの多世代交流を実現させていく魔法の道具として進化させていけたらと願っています。

HAZAI通貨(大英産業㈱製作協力)

1年間の総括および次年度の取り組み概要と抱負

この1年間を振り返って、無料学習塾や無料自習室の運営も、子ども食堂をプラットフォームにして進めている「わがまち大家族プロジェクト」も、予想を超えて産官学民を巻き込み進化していると感じています。まちづくりに関しては「子ども食堂」と同様に、"食でつながる「フードサポート北九州」も行政主導で始まりました。地域通貨「ちゅうおうまちスマイレージ」は地元企業の建築端材で作られます。紙幣やこども通帳も地元金融機関の協力を依頼してアイデアが生まれています。まちでは高齢化が進み、ひとり暮らしのご年配の方がおられますが、その方々が家のゴミ出しや草刈など、ちょこっと困った時に、出動する「子どもちょこっと応援隊」もアイデアが出ています。ベネッセこども基金の最終年度となる3年目は私たちもわくわくしています。

地域通貨と駄菓子を交換する子ども達(たらふく亭)

認定NPO法人フードバンク北九州ライフアゲイン

フードバンク北九州ライフアゲイン理事長

原田昌樹 さん

2000年4月「北九州希望の光キリスト教会」の牧師として活動を開始。翌年、任意団体ハッピーアワークラブを設立し、子育て支援に取り組む。その後も北九州市で里親登録し養育里親としての活動、駅前での夜回り活動、自宅近隣で8軒の借家を利用し自立支援の活動などに取り組む。2014年よりフードバンク北九州ライフアゲイン理事長。

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