公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

2023活動報告|病児とご家族が音楽を楽しめるようチャリティコンサートを開催。支援拡大にもつなげる

特定非営利活動法人 福岡こどもホスピスプロジェクト

病気・障がいを抱える子どもの学び支援

助成期間を終え、活動の成果をご報告いただきました。事業の詳細などは以下からご覧ください。

2023年事業紹介 障がいや重い病気を持つ子どもが、地域の中で共に学び遊び、ワクワクと笑顔が溢れる地域社会への仕組づくり

事業の目的 事業の内容 事業の結果 事業の成果 自己評価 課題および今後の展望

事業の目的

病気や障害のある子どもたちは、同年齢の子どもと同じような経験をする機会が少なくなってしまいがちです。病気や障害があっても生活を豊かに、成長を支えていくためには、さまざまな経験をする機会を提供することが大切となりますが、現状では、その関わりは医療福祉関係者や家族が行っており限界があるといえます。また、そのような病児や家族がいることも一般にはあまり知られていません。九州では"子どもホスピス"の認知度が低く、企業を含め地域社会への周知、理解と支援をどのように得ていくかが課題となっています。

本事業を通して、一般の多くの方が、イベントを楽しむとともに、重い病気や障がいをもつお子さんとご家族への支援の必要性について、理解を深めていただくことを目的としています。

事業の内容

外出することもままならない状況にある障がいや重い病気をもつ子どもたちとその家族を対象に、チャリティコンサートや子ども向けイベント、および病気とたたかう子どもたちの美術展の開催を通して、日常にない「体験」の場や、子どもたちの持つ可能性を引き出しこころ豊かに生きる時間を提供します。また一般へ広く告知することで地域社会への周知と理解そして支援を得ることめざしています。

【チャリティコンサート】
重い病気や障がいをもつお子さんとご家族、および一般の方を対象に音楽ホールにてクラシックのコンサートを開催。重い病気や障がいをもつお子さんが日ごろなかなか経験することのできない音楽を、ご家族には癒しの時間を提供します。一般の方には、子どもホスピスを知ってもらい、支援の輪を拡げるためのイベントとして開催します。

【こどもフェスタ】
4/28~5/5は「こどもホスピスウィーク」。
全国各地でこどもホスピスに関する啓発のためにイベントが開催されます。福岡では現役医師のデュオ「インスハート」によるコンサートとバルーンアートなどにより、重い病気のお子さんとご家族、および一般の方が楽しめるイベントを開催します。

【病気とたたかう子どもたちの美術展】
子どもたちの闘病は家族も含めて辛いことが多くありますが、それだけではない命の輝きを感じていただけるように、そして輝く命をみんなで支えていく地域社会になることを目標に、「病気とたたかう子どもたちの美術展」を開催します。

【経験者による体験を話す、聴く会】
子どもホスピス開設後は、子どもたちや家族に対し、安全で適切な対応や楽しい遊びや学びを提供できる「知識」や「スキル」を身に着けることが必要となります。まずは経験者による話を聴くところから始め、理解を深めていきます。

事業の結果

【チャリティコンサート】 2024年2月25日に福岡県飯塚市のイイヅカコスモスコモン大ホールにて、福岡県内4校の中学校吹奏楽部による演奏会を開催しました。来場人数は約700名。

チャリティコンサート会場の様子
チャリティコンサートのロビーにて

【子どもフェスタ】 2023年5月6日に福岡天神レソラホールにて、子どもホスピス講演会および現役医師デュオのインスハートによるコンサートを開催しました。来場者は約200名。

子どもフェスタ終了後の集合写真

【病気とたたかう子どもたちの美術展】
チャリティコンサートにあわせて、コンサートのロビーにて病気とたたかう子どもたちの美術展を開催しました。来場者は約700名。

病気とたたかう子どもたちの美術展の様子
作品に見入る来場者のみなさん

【経験者による体験を話す、聴く会】
4回開催。
2023/7/9 グリーフの会開催。参加者は12名
2023/8/19 きょうだい児の会開催。参加者は3組の親子
2023/9/3 重い病気や障がいをもつご家族との交流会開催。参加者は15名
2024/2/17 グリーフの会開催。参加者は12名

経験者による話を聴く会・終了後の集合写真

事業の成果

重い病気や障がいをもつ子どもたちとその家族が、さまざまなイベントを通して日常にない「体験」の場や、子どもたちの持つ可能性を引き出しこころ豊かに生きる時間を提供することができました。また一般へ広く告知することで地域社会への周知と理解そして支援を得ることを目標としてイベントを遂行しました。
イベント等を通して、重い病気や障がいをもつ子どもたちと家族については、日ごろ経験できないことが経験できて楽しかったという意見を多く聞くことができました。また、一般の参加者からは、イベント参加アンケートを通して、子どもホスピスの理解度が深まったことや、子どもホスピスの必要性の認識が高まったこともわかりました。
イベント開催要項や運営マニュアルなども整備することができ、次につながるノウハウを残すことができました。

自己評価

子どもホスピスに対する地域社会の理解度向上と支援の輪が広がることを目標として活動しましたが、参加者のアンケートなどからも一定の成果をあげることができたと評価しています。
特にチャリティコンサートでは、準備段階で各中学校吹奏楽部を訪問し、部員の皆さんに対してチャリティコンサートの目的などの説明を行いましたが、その結果、部員たちが能動的にステージ内容を企画し演奏してくれたことが大変嬉しく、そして未来につながるイベントだったと高く評価しています。

課題および今後の展望

イベント集客のためのマンパワー不足が課題となりました。
マンパワー不足であるがゆえ、広報の地域が限定的(福岡県飯塚市周辺)になってしまい、より多くの方にリーチさせることができませんでした。
イベント企画の段階から多くのスタッフを巻き込むことで、集客のマンパワーも強化されると考えられます。
子どもホスピスの認知度はまだまだであり、次回開催の要望も多くいただいているため、本事業での成果物であるイベント開催要項や運営マニュアルを活用し、改善しながら次回開催を検討したいと思います。

特定非営利活動法人福岡子どもホスピスプロジェクト

理事長

濵田裕子 さん

聖路加看護大学卒業後、看護師、保健師として勤務し、その後、九州大学医学研究院などで看護教育に携わる。専門は小児看護学・家族看護学。
長男の闘病経験や海外の子どもホスピスの視察をとおして、2010年より大学院生らとともに子どもホスピスプロジェクトを立ち上げ、2014年有志らとNPO法人福岡子どもホスピスプロジェクトを設立。
重い病気や障がいがあってもゆたかに暮らせる社会をめざして、子どもホスピスを創るべく活動している。

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