助成団体紹介
2023活動報告|「えんぴつルーム」での学習支援、食支援などを通して子どもの居場所ができた
認定特定非営利活動法人 ミタイ・ミタクニャイ子ども基金
1年目の助成期間を終え、活動の成果をご報告いただきました。事業の詳細などは以下からご覧ください。
2023年事業紹介 横浜市の県営団地における子どもたちの居場所づくりプロジェクト
事業の目的 2023年度の取り組み 1年間の振り返り その他
事業の目的
本事業では、子どもの居場所を展開することを通して、団地や団地周辺に住む子どもたちの学習状況と食事状況の改善をめざしています。また、団地には外国につながる方々も居住されており、多文化共生をめざす取り組みも行っていきます。
2年目は団地内や周辺地域での多文化共生の促進をめざしていきます。
3年目は近隣地域住民や組織/団体が本事業のアクターとして参画し、次年度以降の計画策定・資金調達にかかわることをめざしていきます。
2023年度の取り組み
①子どもたちを対象とした学習支援の実施、学習意欲の向上
えんぴつルームにおいて、宿題やテキストなどを用いて学習する習慣が定着しました。また、子ども達が自ら勉強に取り組むことが増えました。さらに、わからない問題はスタッフに聞いて解消しようとする子どもも何人か見られるようになりました。これらの様子から、子ども達がえんぴつルームを利用することで学習習慣が身についてきたことを意味します。
参加した子どもはのべ182名(開催数41回・横浜国立大学地域課題実習含む)、大学生ボランティアのべ106名、秋祭り参加者・スタッフ8名、地域の方74名)でした。合計で外部の方のべ256名、ボランティアスタッフのべ114名です。
②子どもたちを対象とした食支援の実施
1年間継続して、株式会社ジャンボリア様やその他の企業様、横浜市社会福祉協議会様から食料や飲料等のご支援をいただけました。そのおかげで、月1回のお弁当配布を1年間継続することができ、参加する子ども数の増加にも大きく寄与しました。また、生活保護のお子さまも受け入れることができました。
③多文化共生支援
団地内の外国籍のご家庭とコミュニケーションを取るようになり、またご家庭の子ども2名がえんぴつルームに参加してくれるようになりました。
1年間の振り返り
1年間を振り返って、参加してくれた子ども達にとってえんぴつルームが居場所になっていると感じることが増えてきたように思います。たとえば、最初の頃と比べて参加してくれる子どもが増えたこと、最初は全然勉強したくないと言っていた子どもが、自分から進んでテキストを選び勉強しようとしていることなど、積極的に参加してくれる様子が見られます。また、先週は泣いていたけれどまた今週も来てくれる子どもがいたこと、スタッフの名前を覚えてくれている子どもが増えたことなども、居場所感が高まっていることを示します。これらは何気ないことですが、子ども達の中で、えんぴつルームが存在感のあるものになっているからこそ現れる行動、反応かと思います。次年度も、今年度やってきたことを継続していきたいと思います。
・昨年1年間はベネッセこども基金の助成金支援により前年度に比べて活動頻度、活動規模ともに拡大しました。前年度は月1回開催であったえんぴつルームは、今年度月4回の実施を1年間継続し、1日平均5人の子どもが来室するようになりました。イベントの際には15名の参加があり活動規模の拡大を感じました。また、活動頻度が増えたことにより子どもたちと運営メンバーとの関係が構築され、子どもの様子や成長を感じとり活動を発展させることができました。(本藤)
・えんぴつルームにおける子どもの居場所づくりは、試行錯誤のくり返しでした。えんぴつルームは、居場所づくりをめざしていることから、ルールを増やしすぎず、指導をしすぎず、しかしみんなが安全安心に過ごすための工夫については話し合う、ということがありました。どんなルールだといいのかを話し合い、お友だちの家で過ごすのと同じようなマナーを心がけるという結論になりました。また安全対策では、スタッフがいる場所にも留意する必要があるという話にもなりました。子ども同士の集まりなので、100%けがを防ぐことはできないけれど、けがをしても学生スタッフが保護者にけがの経緯を説明できるよう、えんぴつルームの図面を見ながら、どこにスタッフがいればえんぴつルームのすべての場所を把握できるかなどの話もしました。今後も、安全対策に留意しながら、えんぴつルームの運営に取り組みたいと思います。(橋口)
・教育支援を通して、子どもにとって信頼できる大人のいる、安心できる居場所が作れていると思っています。ある子どもが、えんぴつルームが「自分らしくいられる、自分の居場所」になっていると言ってくれたのが印象に残っています。また、食支援は子どもたちに喜んでもらえています。何らかの事情で朝食や昼食を食べることができていない子どももいらっしゃっています。今後はこの居場所を外国籍の子どもやさまざまな事情を持つ子どもに広げていきたいです。(湯本)
その他
横浜市保土ケ谷区社会福祉協議会、民間企業、横浜保土ケ谷ライオンズクラブや横浜たちばなライオンズクラブ様が本事業の活動を知り、寄付やお弁当の移動などの支援を買って出て下さっています。今後も地域のアクターとさらに連携し、3年目以降の活動につなげていく基礎固めをしていきたいと思います。
藤掛洋子 さん
横浜国立大学都市科学部長・教授、都市イノベーション研究院教授。
開発人類学、ジェンダーと開発学の視点から国際協力や人々のエンパワーメントについて研究・実践を行う。
1993年JICA海外協力隊パラグアイ派遣、JICA専門家としてパラグアイ、チュニジア、ペルー、ホンジュラスなどで子どもや社会的弱者支援に関わる。
1995年にNGOミタイ基金を設立。2014年法人化、2017年パラグアイ大統領府承認、2021年認定NPO承認。2020年より福岡と横浜でも子どもの居場所事業を開始。