助成団体紹介
2023活動報告|母子施設での学習・体験支援で、多様な大人とのつながりを創出できた
一般社団法人 UMEプロジェクト
1年目の助成期間を終え、活動の成果をご報告いただきました。事業の詳細などは以下からご覧ください。
2023年事業紹介 経済的困難を抱える母子施設のこどもたち(小学生~高校生)のための地元大学と連携した支援ネットワークモデルの構築
初年度のステップ 2023年度の取り組み 1年間の振り返り 2年目に向けて
初年度のステップ
UMEプロジェクトは、空き家を利活用し、子どもと多世代が交流する居場所として運営をしてきました。団体の拠点がある地域はひとり親及び困窮世帯はいなかったのですが、団体代表が勤務する学区には経済的に困難を抱える家庭の子どもが多数在籍していました。そこで、ボランティアに参画してくださる学生からオンラインを使った学習支援などの提案を頂いたことがきっかけとなり、すでに連携のあった地元大学教授協力のもと、市内にある「母子支援センター」での学習支援がスタートしました。
2023年度の取り組み
「母子支援センター」はDVなどで他県などから緊急避難を強いられたひとり親家庭の子どもたちが入所する施設(かつ生活困窮世帯)です。まず、当該施設長、副施設長および職員と連携を取り、入所児童の把握を行い、入所児童の通う学校とも連携を図り、学力の補完を進めていきました。
「母子支援センター」ではその性格上、個人情報保護が最重要課題となります。そのため学生への周知は通常のボランティア募集とは違い、SNSなどを使っての告知が難しかったのですが、すでにボランティアに来てくれている学生の口コミにより学生自身からボランティアへの参画の申し出があり、学生から学生へつながっていきました。一年の活動を経て、現在はシフト制を構築し、学習支援を継続して行う仕組みへと発展しています。
1年間の振り返り
「母子支援センター」での活動内容等はSNSでの告知ができない難しさがありましたが、入所している子どもたちの「学び」に対する意欲の向上や勉強が理解できるという楽しさは、彼らの自己肯定感につながっていると思います。「わからないこと」が「わかるようになる」姿を、学習支援に関わるスタッフ、学生、施設職員、学校教員と共有して実感できたことが、一年間を通じて感じた大きな成果となりました。閉ざされた環境下にいる子どもたちは、多様な大人と関係性を構築することが難しい場合もあるため、「暴力で解決しようとする大人」ばかりではないということを体感できたことが彼らにとって何よりの喜びだったという、施設長の言葉を頂きました。若い学生ボランティアや多様な大人と、学びだけでなく体験の場も創出できたことが彼らの生育において「社会に対する明るい未来」につながる一助になれたと代表として自負しています。
2年目に向けて
対面による学習支援のシフト制の構築、オンライン学習支援の強化を重点に「母子支援センター」のみならず、地域のほかの場所でも取り組みを展開して行っていきたいと思います。すでに連携をスタートした「児童養護施設」の入所児童のほか、近隣市外の「経済的困難を抱える家庭の不登校児」の学習支援についても児童家庭教育センター職員から問い合わせを頂いており、つながりが広がっていると感じます。地元企業からの寄付なども頂けるようになり、これらをきっかけに助成事業終了後も持続可能な事業につなげることができるよう、2年目の現時点から寄付集めなど団体スタッフが一丸となって実行していきたいと思っています。
髙橋 真理子 さん
東京都で長年、学童保育の仕事に携わる。看護をきっかけに、故郷である広島県尾道市に滞在する中で、都会と地方都市の教育格差・経済格差を目の当たりにし、小学生を中心とした「空き家利活用の居場所」UMEプロジェクトを立ち上げる。
また、市内の小学校での授業アシスタントを勤める中で「経済的困難を抱える家庭のこどもたち」への学びの体験を作っていく活動に注力していきたいと活動をすすめる。