助成団体紹介
2023活動報告|外国ルーツの子どもの学習会と交流会で、多くのコミュニケーションが生まれました
佐賀県外国にルーツを持つ生徒交流を支援する会
1年目の助成期間を終え、活動の成果をご報告いただきました。事業の詳細などは以下からご覧ください。
2023年事業紹介 外国にルーツを持つ子どもへの教育支援事業「わーるどりんぐ」
現状と課題 取り組み内容 取り組みの工夫や成果 2年目に向けて
現状と課題
佐賀県は外国人が散在している地域であり、外国にルーツを持つ子どもたちは学校の中でごく少数です。言葉の壁や文化の違いから孤立しやすい状況にあり、経済的にも困窮している場合もあります。このような環境が、自己肯定感や学習意欲の低下につながってしまう場合もありますが、こうした現状に対して公的な支援体制は決して十分とは言えません。
取り組み内容
当団体は、子どもたちの活動として「わーるどりんぐ交流会」と「わーるどりんぐ学習会」を実施しています。交流会には、県内各地から幅広い年齢層の子どもたちが集い、保護者も参加します。遊びや食を通して交流すると同時に、多文化について学び、個々の悩みや思いも共有する場です。 また必要に応じて、子どもたちのことについての保護者の相談にものっているため、学校の先生や教育委員会とも連携しています。
取り組みの工夫や成果
わーるどりんぐ交流会は、夏季、冬季、春季の三回実施しました。 夏の交流会では「先輩から学校の話を聞こう!」、冬の交流会では「お母さんやお父さんのルーツを知ろう!」春の交流会では「日本の弁当文化について学び、作ってみよう!」というテーマで実施しました。
それぞれの会でテーマは違いますが、親子ともに楽しく取り組んでいました。延べ参加人数は229人、そのうち、外国にルーツを持つ子どもとその家族は延べ151人でした。 わーるどりんぐ学習会は、毎週水曜日の18-20時に実施し、延べ330人が参加しました。学習内容は一人ひとりのニーズに合わせて個別プログラムを組んでいます。宿題や学校の予習、苦手な教科の補強、受験勉強などさまざまです。成果として、受験生が志望校に入学することができました。通信制高校の生徒は卒業することができ、就職することができました。
2年目に向けて
交流会や学習会については、今後も継続していきます。今後は、学習支援の必要な子どもがどのくらい県内にいるのか、また、高校等の進学状況はどうなっているのかに等の調査が必要です。予備調査として、昨年度3月末に各中学校に向けて郵送で質問紙調査を送付し、オンラインで回答してもらいました。2024年度は、もう少し調査内容を広げるとともに精緻な調査を実施したいと考えています。
松下 一世 さん
大阪府小学校教員を経て、佐賀大学教育学部の教員をしています。専門は、多文化共生教育を含む人権教育学です。マイノリティの子どもが生き生きとできる学校教育の在り方を研究しています。 2013年に「佐賀県外国にルーツを持つ生徒交流を支援する会」を設立しました。2023年に、西日本国際財団より「アジア未来大賞」を受賞しました。