助成団体紹介
2023活動報告|医療的ケア児のための災害キャンプを実施し、防災マニュアルを作成
一般社団法人Orange Kids' Care Lab.
助成期間を終え、活動の成果をご報告いただきました。事業の詳細などは以下からご覧ください。
2023年事業紹介 医療的ケア等がある子どもと家族の災害学習キャンプの開催
事業の目的 事業の内容 事業の結果 事業の成果 自己評価 課題および今後の展望
事業の目的
医療的ケア等がある子どもとその家族が、災害時等を想定して、不慣れな環境でも家族が自立して行動できるスキルを身に付けること。
事業の内容
1.勉強会と報告会の実施
(勉強会 第1回)
時期:2023年6月24日 場所:オンライン開催 参加数:講師3名、参加者31名
内容:講演会の実施。「医療的ケア児等における日頃の防災対策、被災時への備えについて」というテーマで、災害の概要や医療的ケア児の被災事例とその後の防災に関する取り組み事例を講師からお話しいただきました。
(勉強会 第2回)
時期:2023年7月29日 場所:当団体施設 参加数:講師1名、参加者44名
内容:災害に備えるためのワークショップの実施。福井市の防災マニュアルやハザードマップにおける自宅周辺状況の確認。水害を想定した避難計画の作成や避難時の連携等についてのディスカッションを実施しました。
(報告会)
時期:2024年2月23日 場所:オンライン 参加数:28名
内容:活動報告、災害学習キャンプ参加者による座談会、質疑応答
2.災害学習キャンプの開催
(初心者編)
時期:2023年6月17日-18日
場所:オレンジキッズケアラボ
参加数:2家族(7名)、専門職4名
(上級者編)
時期:2023年9月30日-10月1日
場所:休暇村越前三国オートキャンプ場
参加数:4家族(13名)、専門職10名
内容
・電気と水道を使わずに過ごしてみる
・バッテリーの保持時間を確認する
・避難時に必要な物品量を把握する
・災害時対策マニュアルブックを記入する
・非常食を食べてみる、加工してみる
3.災害時対策マニュアルブックと動画の作成
上記の勉強会や災害学習キャンプの実践をもとに、災害時対策マニュアルブックと動画を作成し、団体ホームページに掲載しました。
事業の結果
1.勉強会と報告会の実施
勉強会と報告会の参加人数は以下の通りです。
・第1回勉強会:講師3名、参加者31名
・第2回勉強会:講師1名、参加者44名
・報告会:参加者28名
2.災害学習キャンプの開催
災害学習キャンプの参加人数は以下の通りです。
・初心者編:2家族(7名)、専門職4名
・上級者編:4家族(13名)、専門職10名
3.災害時対策マニュアルブックと動画の作成
・災害時対策マニュアルブックを作成
・動画9本を作成
事業の成果
1.勉強会と報告会の実施
勉強会の実施により、支援者は、医療的ケアがある子どもと家族に対して、どんな関わり・支援が必要かを知ることができ、参加家族は、災害時等を想定して今後準備すべきことや考えるべきことを明確にすることができました。また、両者から日頃の地域住人や自治体との関わりが、被災時の支援者を増やすことにつながる、といった趣旨の気づきが多く見られました。福井市の担当者からは、成果物「災害時対策マニュアルブック」の活用方法や、第2回勉強会で取り組んだワークショップを別の機会に実施してほしいと要望をいただきました。
2.災害学習キャンプの開催
災害時を想定した体験ができたことで、実際の避難準備から今後検討や備えが必要な点を整理することができました。「無くても他の物で代用するといった応用力を伸ばしていくことが重要」、「このような疑似体験をくり返して慣れておくことが大事」といった気づきが参加家族からありました。さらに、「次は家族だけで、キャンプ等自宅以外の場所で過ごすチャレンジをしたい」といった前向きな意見もいただけました。2024年1月に発生した令和6年能登半島地震においては、福井県でも大きな揺れを観測しましたが、この際に災害学習キャンプに参加した家族は、「家族間で声を出して安否確認。非常物品を机の上に置いた」、「荷物を玄関に全部出し、ヘッドライトを枕元に置いて普段着を着て寝た」、「扉と玄関をすべて開けた。風呂場に水をはり、非常時の荷物を車の中に積んだ」など、今回の学びを活かして、行動することができていました。
3.災害時対策マニュアルブックと動画の作成
災害時対策マニュアルブックを行政との連携において、活用し始めている家族が増えました。当団体が災害時対策マニュアルブックを作成したことを行政機関(市や保健所)も把握しており、子どもたちの災害対策を検討する上で、これまでよりも連携を深めることができています。
自己評価
災害対策、災害支援について漠然としていたことが、災害学習キャンプを実施したことで、具体的に災害時の対応を考え、行動にうつす機会となりました。今回の経験が令和6年能登半島地震の際の家族の行動にも反映されており、引き続き災害対策支援としてこの事業の継続が必要であると考えています。
課題および今後の展望
医療的ケア児等に対する災害支援はまだまだ事例が少なく、支援者にとっては関心の高い話題であると感じました。勉強会で実施したワークショップや災害時対策マニュアルブック、動画などの成果物を使って、引き続き行政や自治体を巻き込みながら医療的ケア児等とその家族への支援も考えていきたいと思います。
紅谷浩之さん
福井医科大学を卒業後、福井県内の僻地診療所にて在宅医療・地域医療を学び、2011年福井県初の在宅医療クリニックを福井市に開設。在宅医療に従事する中で、医療ケア等が必要な子どもたちと出会い、2012年に当団体を開設。子どもたちの医療や生活のサポートだけでなく、様々な活動を実施し、子どもたちの成長に関わっている。国の事業の中では、医療的ケア児保育支援モデル事業、こども家庭庁開設に向けた委員会に参加。