公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

2024活動報告|複数の場所で放課後学習教室を実施。大学生を主体にチームで運営

特定非営利活動法人 BORDER FREE

経済的困難を抱えるこどもの学び支援

1年目の助成期間を終え、活動の成果をご報告いただきました。事業の詳細などは以下からご覧ください。

放課後学習教室(いつでも大学生に質問できる勉強スペース、家庭、学校に次ぐ第三の居場所としての機能) 、さくら教室(高校受験や英検試験対策行う集団授業形式の事業)業

多摩市での学習支援の現状 若者主体の実践と地域密着型モデルとしての可能性 1年間の振り返り 2年目に向けて

多摩市での学習支援の現状

BORDER FREEでは、地域のこどもを対象に、学習支援を中心とした教育格差の是正に取り組んでいます。2021年に学習支援サークルとして発足し、2023年8月にNPO法人化。2024年2月時点での在籍生徒は100名、メンバー数は112名に上ります。教室は多摩センター、聖蹟桜ヶ丘、稲城、永山、さらに千葉・栃木・熊本などにも展開しており、多摩市内では特に「放課後学習教室」の形態が中心となっています。

教室では、児童扶養手当受給世帯や住民税非課税世帯に無償または月500円〜1,000円で支援を提供し、学習支援に加えて居場所機能も担っています。支援は主に大学生や高校生によるボランティアによって実施されています。

多摩市社会福祉協議会(社協)とは、2022年度以降に連携を強化。社協からの紹介により福祉的支援が必要な家庭へリーチするケースが増えており、学習支援教室の対象生徒の一部は社協経由で参加しています。また、社協主催の福祉大会にて2023年に「特別功労賞」を受賞したことも、地域内での信頼性向上と協働関係の深化につながっています。

施設提供に関しては、多摩市内の地域センター・公民館等の公共施設を社協の許可のもと活用。これにより、活動場所の安定確保と運営コストの削減が実現されています。さらに市内の教育委員会からの後援名義使用許可や、福祉部門の職員との面談・定期ヒアリングを通じて、支援の質やアプローチ方法の改善も継続的に行っています。

「勉強会のスペース」を提供する放課後学習教室での活動の様子

若者主体の実践と地域密着型モデルとしての可能性

運営主体は大学生で構成され、教室ごとのチームで企画・広報・現場運営・保護者対応を分担しています。
また、教室によっては地域住民(保護者、元教員、シニア層など)が補助的に関わるケースもあり、単なる若者の支援活動に留まらず、地域ぐるみの学びの場となっています。

2025年度の計画では、行政との連携を強化し、協働モデルの明文化・共有を進めるほか、福祉系団体との合同研修・勉強会の開催、教育委員会との連絡体制強化も検討しています。行政・社協・民間団体が役割を分担しながらこどもを支えるこのモデルは、他自治体や団体にとっても再現性のある事例となっていくと考えています。

新体制発表会の様子。大学生を主体に、運営方針などを決めて活動

1年間の振り返り

1年を振り返ると、まず団体成長という観点では、千葉と栃木に新規開講することができ、それに伴って生徒数も2倍ほどに増加しました。一方で既存の教室でも確かな実績を作ることができ、さくら教室の中3都立対策クラスでは、生徒全員が第一志望の都立高校に合格しました。このように、「質の高い授業を低価格で」というモットーを体現しつつ、団体としても大きく成長した1年になりました。

集団授業教室のさくら教室の様子

2年目に向けて

2年目に向けては、まず多摩市で「社協×行政×市内の学習支援団体」の3者で現状の課題や、こどもたちの支援の方法について共有し、多摩市としての支援の輪を形成していきます。
また、既存の教室の質の強化とともに、さらなる拡大に向けて動いていく予定です。

特定非営利活動法人BORDER FREE

理事長

二宮龍斗 さん

都立戸山高校卒業。桜美林大学航空マネジメント学群中退。現在は明治大学理工学部数学科の現役大学生。
高校時代の不登校の経験や、教育格差に対する課題認識から2021年に高校の同期である村上と当団体を設立。
また、中学受験、高校受験、大学受験の経験を活かし、受験生向けのサービスも2023年8月からスタートさせた。

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