助成団体紹介
2025活動報告|小児がん経験者とその家族とともに、社会の創り手へ
特定非営利活動法人 エゴノキクラブ
助成期間を終え、活動の成果をご報告いただきました。事業の詳細などは以下からご覧ください。
2025年事業紹介 小児がんのこどものリーダーシップ育成事業
事業の目的 事業の内容 事業の結果 事業の成果 自己評価 課題および今後の展望
事業の目的
小児がんのこどものリーダーシップ育成事業として、小児がん経験者とその家族が、退院後も安心して自分らしく生活できるよう支援することです。そのために、体験活動を通じた自己肯定感や社会性の向上、専門家による学びの機会の提供、さらに支援者ネットワークの構築を通じて、切れ目のない支援体制の充実を図ることを目指しました。
事業の内容
本事業では、小児がん経験者とその家族を対象に、体験活動・学びの機会・専門職ネットワークの3つの柱で支援を行いました。明治神宮の散策やイルカとのふれあい、被災地支援、動物園見学、清掃活動などの体験を通じて、楽しみながら社会とのつながりや自己肯定感を育む機会を提供しました。
また、「エゴノキワークショップ11」では、対面とオンラインのハイブリッド形式を活用し、全国から参加した当事者・家族が専門家から退院後の生活に役立つ知識を学ぶ場を設けました。さらに、公認心理師によるオンラインネットワークを構築し、定期的な会議やリーフレット作成、ワークショップ参加を通じて現場の声を反映した支援の充実を図りました。
事業の結果
4月29日に明治神宮を散策し、16名の参加者で短歌づくりに挑戦しました。作品を発表し合い、ドキドキした気持ちと素敵な歌を共有しました。7月5日には31名で、水族館のマクセルアクアパークを貸し切り、全員で「イルカにタッチ」を体験しました。ゴムのような不思議な感触に、皆で驚いたり、喜んだりしました。8月26日には企業のファミリーディに13名で参加し、企業の人たちと一緒に被災地の人たちに贈るぬいぐるみをつくりました。
夏休みや冬休みには、オンラインで、イングリッシュ・クラブと音読クラブを5回開催し、合計28名のこどもたちが遊びに来てくれました。10月19日には、15名で上野動物園に行きました。象やゴリラを観察していたら、人間のように振舞うときがあり、じっと見入ってしまいました。11月8日には「エゴノキワークショップ11」と題して、医師、ファイナンシャルプランナー、弁護士、公認心理師から、退院後の健やかな過ごし方について話を聞きました。11月6日には荒川河川敷にて、企業と一緒に、草むしりやごみ拾いを行いました。
事業の成果
神宮だけでなく、水族館や動物園を訪れたのが初めてのこどももいました。ゆっくりペースの活動は、こどもたちも安心して参加することができ、特に企業とのコラボレーションでは、社会貢献できる喜びを分かち合いました。小児がんのこどもたちが積極的に外に出て活動することで、社会に貢献できる力を見せていくことの大切さを認識しました。
自己評価
当初の目標であった、小児がん経験者とその家族が退院後も安心して生活し、社会とのつながりを持ちながら自分らしく過ごせる支援体制の構築の試みについては、概ね達成できたと評価できます。体験活動を通じて自己肯定感や社会参加の機会を提供できたほか、ワークショップでは専門的な知識の提供により生活面の不安軽減につながりました。さらに、支援者ネットワークの形成により、現場の声を反映した実践的な支援の仕組みづくりも進み、一定の成果が得られたと考えられます。一方で、継続的な参加促進や支援の広がりについては今後の課題として残されており、さらなる発展が求められます。
課題および今後の展望
課題は、支援の継続性の確保と参加の広がり、またネットワークや成果物を実際の支援現場に定着させていくことです。今後は、オンラインと対面を組み合わせた体制を強化し、当事者の声を反映しながら、全国的に活用できる支援モデルへ発展させていくことが求められます。
佐藤聡美 さん
聖路加国際大学公衆衛生大学院・准教授。専門は小児がんのこどもたちの認知機能に関する臨床および研究。2010年より、小児がんの治療を受けたこどもたちを対象に、課外活動や医療情報の提供を目的としたワークショップを実施する自主サークルを主宰。こどもたちやその支援者たちの声に応えるかたちで、2021年にNPO法人エゴノキクラブとして法人化。現在は、小児がん経験者が社会の中で自信を持って活躍できるよう、リーダーシップ育成事業を中心としたさまざまな支援活動を行っている。