公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

2025活動報告|野外活動やコンサートで体験と楽しい時間をLTCのこどもと家族に提供

特定非営利活動法人 北海道こどもホスピスプロジェクト

病気・障がいを抱えるこどもの学び支援

助成期間を終え、活動の成果をご報告いただきました。事業の詳細などは以下からご覧ください。

2025年事業紹介 LTCのこどもと家族の状況を学びで改善する仕組みづくり〜他地域展開〜

事業の目的 事業の内容 事業の結果 事業の成果 自己評価 課題および今後の展望

事業の目的

北海道こどもホスピスプロジェクトでは、小児がんや難病など、生命を脅かされる重い病気や障がいとともに生きるこどもたちとその家族が、孤立することなく、その子らしい時間や家族としての時間を過ごすことができる社会をめざして活動しています。
対象となるのは、継続的な医療的ケアが必要だったり、病院と自宅を行き来する生活を送っていたりする、0歳から18歳頃までのこどもたちです。こうした状態は、LTC(Life-Threatening Conditions:生命を脅かす病気や状態)とも呼ばれています。
北海道では、小児がんの拠点・連携病院が札幌市内に多く集中していることから、道内各地から長距離の移動を伴いながら治療を続けるご家族も少なくありません。
その中で、病気や障がいがあることで、「外で遊ぶこと」「家族で出かけること」「文化体験に参加すること」を諦めてしまうご家族がいます。

本事業では、野外活動やユニバーサルおやこコンサートを通して、こどもたちが安心して新しい体験にふれ、家族みんなで笑顔になれる時間を届けることをめざしました。あわせて、北海道各地で継続的に活動を行っていくための基盤づくりを目的として実施しました。

野外活動のチーム

事業の内容

① こどもたちの探究心を育む、野外活動
これまで札幌近郊で積み重ねてきた野外活動を、新たに道東・道北エリアへ広げて実施しました。
地域のアウトドアガイドや病院、支援団体と連携しながら、車椅子やバギーを使用するこども、医療的な配慮が必要なこどもも安心して参加できるよう、事前のヒアリングや安全管理を丁寧に行いました。
・屈斜路湖でのんびりデイキャンプ(8月11日/日帰り・道東エリア)
・のんびり秋の森たんけん in 旭川デイキャンプ(10月12日/日帰り・道北エリア)
自然の中での体験や交流を通して、こども同士、家族同士のつながりを育む機会となりました。

8月に開催した屈斜路湖でラフティング
落ち葉の中でみんなのんびり時間

② こどもたちのさまざまな想いに寄り添う、ユニバーサルおやこコンサート
旭川・帯広・釧路にて、病気や障がいのあるこどもと家族が安心して参加できる「ユニバーサルおやこコンサート」を開催しました。
一般的なコンサートでは、人工呼吸器の音や痰吸引、途中退席への不安などから、参加をためらうご家族もいます。
本事業では、「静かに聴かなければならない」という制限を設けず、こどもたちが自由に身体を動かしたり、声を出したりしながら、生の音楽を楽しめる空間づくりを行いました。
また、地域の病院や支援団体とも連携し、対象となるご家族へ広く周知を行いました。

クリスマス時期にコンサートを開催しました
鈴を鳴らしてリズムも楽しみました

③ 安心して参加できるためのWEBページ制作
活動を続ける中で、「参加してみたい気持ちはあるけれど、野外活動は少しハードルが高いかもしれない」という声を聞くことがありました。 そこで、初めてのご家族でも安心して活動へ参加できるよう、活動内容や安全への取り組み、参加までの流れ等をまとめた特設ページを制作しました。
このページでは、
・活動の様子
・医療的配慮や安全体制
・参加したご家族の声
・参加までの流れ
などを掲載し、参加を検討するご家族の不安を少しでも軽減し、安心して一歩を踏み出せる情報提供をめざしました。

新たに開設した野外活動の紹介ページ

事業の結果

野外活動・ユニバーサルおやこコンサートともに、道内各地のご家族にご参加いただき、「また参加したい」「久しぶりに家族みんなで出かけることができた」といった声が寄せられました。
また、当団体が運営している、治療と治療のあいだに家族で過ごす居場所「くまさんち」を利用されたご家族と、活動の場で再会する機会もありました。 入院治療が終わったあとも、再検査などの通院が続くご家族は少なくありません。「くまさんち」は札幌市外から通院されるご家族の利用も多いため、それぞれの地域で実施した野外活動やコンサートで再びお会いできたことは、私たちにとっても大変うれしい出来事でした。
地域のアウトドアガイドや支援団体との連携を通して、病気や障がいとともにあるこどもたちへの理解が深まり、新たなつながりづくりにもなりました。

参加者アンケートでは、
「アウトドアが得意ではない親で、道具もなく、キャンプもしたことがありませんでしたが、初めての経験をとても楽しんでいる様子でした」
「午前中の探検では、こどもの知識の多さに驚きました」
といった声も寄せられました。

WEBページ制作については、これまで十分に掲載できていなかった参加ご家族の声や、活動前に丁寧なヒアリング・下準備を行っていることを、団体として改めて整理し、可視化する機会となりました。 この取り組みにより、初めて参加を検討するご家族にとって、活動の様子や安全面への配慮が伝わりやすくなり、次年度以降の参加導線の整備につながる基盤づくりとなりました。

音が出るおもちゃや楽器を持ち込み、みんなで音楽体験

森遊びの後は、拾った素材で室内で工作を楽しみました

事業の成果

秋の森で実施した野外活動では、こどもたち同士の自然な交流が多く生まれました。
保護者の方からは、
「学年の違うお友達がいると、知識も体力も違うので、お互いに刺激になったと思う」
「お兄ちゃんたちの話を聞くおもしろさも知ったと思う」
といった声が寄せられ、こどもたちが互いに影響を受けながら過ごす姿に、保護者の方もあたたかな関心を寄せていました。

森の中では、こどもたちが元気に走り回ったり、どんぐり拾いで見つけたものを見せ合ったりする姿がありました。時間が経つにつれて、少しずつ緊張がほぐれ、安心して心を開きながら楽しんでいる様子が見られました。
また、自分より小さなお友達の手をつないで坂道を上り下りしたり、傾斜のある場所での栗拾いをしたりする中で、こどもたち同士が自然に声をかけ合い、協力し合う場面もありました。野外での体験を通じて、こどもたちが遊びの中で関わり合い、支え合う姿が見られたことは、大きな成果の一つです。

ユニバーサルおやこコンサートでは、音楽を楽しむ時間だけでなく、家族同士が再会したり、ゆっくり言葉を交わしたりする時間も生まれました。 参加されたご家族の中には、以前から顔見知りの方もおり、保護者同士でお話をしながら、リラックスして過ごされている様子がありました。また、以前の活動に参加されたご家族と3年ぶりに再会する場面もあり、成長したこどもの姿に、スタッフも胸がいっぱいになりました。

こうした再会や交流は、一回きりのイベントではなく、関係性が続いていくことの大切さを改めて感じる機会となりました。こどもたちにとっても、家族にとっても、安心して参加できる場があることで、楽しい体験だけでなく、人とのつながりや成長を感じられる時間となっています。

森の中で思いっきり遊んで、「できた」をたくさん感じる時間となりました

自己評価

本事業では、北海道の各地域へ活動を広げることで、これまで参加機会が限られていた家族へ体験を届けることができました。
一方で、安全に活動を実施するためには、地域ごとの連携体制を丁寧に整える必要があることも見えてきました。また、活動を継続していくためには、イベント当日だけではなく、参加前の不安を軽減する情報発信や、安心して参加できる導線づくりも重要であることを実感。今回制作したWEBページは、その課題に対する新たな取り組みとなり、活動の可視化や参加への安心材料として、今後の基盤整備につながるものとなりました。

こどもは、風を感じて思いきり遊びながら「できた」「楽しい」と感じる中で、自分を育てていく存在。どうしても後回しになっていた外遊びの時間をもっと気軽に参加できるよう届けていきたいです

課題および今後の展望

北海道はとても広大です。 今後も継続的に活動を実施していくためには、私たちが各地域へ活動を届けるだけでなく、地域の病院、支援団体、アウトドアガイド、演奏者など、さまざまな方々との連携を深めていくことがより大切だと感じています。

また、病気や障がいのあるこどもと家族にとっては、「参加してみたい」と思えることに加えて、「ここなら安心して参加できそう」と感じられることがとても重要です。そのため、活動内容や安全面への配慮、参加までの流れをわかりやすく伝える情報発信や、安心して参加できる環境づくりを、今後さらに進めていきたいと考えています。

今回の事業を通じて、こどもたちや家族同士のあたたかな交流が生まれました。 一方で、その関係性は、イベントを開催するだけでは続いていかないことも実感しています。 私たちはこれからも、北海道各地へ出向くアウトリーチ型の活動を大切にしながら、同時に、こどもと家族が「いつでもここにいるよ」と感じられるような、あたたかな関係性が続く場所をつくっていきたいと考えています。いつか、そのような拠点を持つことも、今回の活動を通して新たに見えてきた夢のひとつです。

これからも、活動に参加されるこどもたちやご家族の声に耳を傾けながら、北海道の中で、こどもと家族が安心して笑顔になれる時間を届け続けていきます。

家族を迎える前の、森の中の小さな拠点。この場所から生まれるあたたかな関係性を、いつか「いつでも帰ってこられる場所」へと育てていきたいと考えています

特定非営利活動法人北海道こどもホスピスプロジェクト

理事長

奥田 萌さん

制作会社と広告代理店にて広報・企画・ディレクション業務に携わった経験を活かし、北海道に「こどもホスピス」をつくるためのイベント企画運営・広報担当ボランティアとして2018年より活動に参加。生命を脅かす病気や障がいとともに生きるこどもたちと、そのきょうだい・家族が「自宅」と「病院」以外でも安心して過ごせる居場所をつくることを目指し、地域・医療・福祉・教育・文化をつなぐ活動を展開中。また、誰にとってもバリアのない、インクルーシブな社会の実現に向けて「心のバリアフリー」普及活動や講演活動にも取り組んでいます。

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