助成団体紹介
2025活動報告|デジタルの学びを通して自立するための3つの学習メニューを開発・実施
一般社団法人 Kids Code Club
1年目の助成期間を終え、活動の成果をご報告いただきました。事業の詳細などは以下からご覧ください。
2025事業紹介|貧困の連鎖を断ち切るための総合的なデジタルスキル学習サポート
【事業の背景】
【1年間を振り返って】
本年度は、「どうすればこどもが楽しみながら学び続けられるのか」を改めて考え続けた1年でした。単に教材や学習機会を増やすだけではなく、
2年目は、これらの取り組みをKids Code Clubの中だけで完結させるのではなく、他のこども支援団体や学校、地域の居場所など、より多くのこどもたちに届けていきます。また、活動を継続・発展させていくために、個人・企業・プロボノなど、多様な立場の人たちが支援者として関われる仕組みづくりも進めていきます。
経済的事情で大学中退後、IT技術を独学して自立できた原体験から、こどもの貧困・教育格差の改善を目指すために2016年にKids Code Clubをスタート。利用者200万人のプログラミング教材「キッズコードレシピ」、「放課後プログラミングクラブ」などこどもたちが無料でデジタルスキルを学べる環境を提供し続けている。
事業について
Kids Code Clubでは、経済的な困難を抱える家庭のこどもたちが、デジタルの学びを通して自信や社会性を育み、将来への可能性を開くことを目的として、PC・インターネット回線と、デジタル学習支援を無料で提供しています。
これまでそのような機会がなかったこどもたちにとって、デジタル環境を得ることは、大きく世界が広がる一方で、インターネット上の様々なリスクに直面することになります。特に、経済的困難だけでなく、発達障害や不登校などの複合的な困難を抱えるこどもが自立に至るまでは、一人ひとりのこどもの生活状況や、興味・関心に合ったサポートが必要になります。
そこで私たちは、より困難を抱える親子が自立するための発展的なサポートとして、多様な大人たちや、学び領域に触れられるような3つの学習メニューを開発しました。
【A. デジタルシティズンシップ講座】
「親子で一緒に考える」デジタルとの向き合い方
インターネットやSNSは、こどもたちにとって身近な存在です。一方で、ネットいじめや依存、フェイクニュース、著作権など、家庭だけで対応するには難しい課題も増えています。また、大人自身もまだ学習が不十分という状況です。
そこで、メディアリテラシー、ネットいじめ、デジタル足跡、著作権、対人関係など、7つのテーマを親子で一緒に学べる「デジタルシティズンシップ講座」を年間14回開催し、のべ320組以上の親子が参加しました。講座では、「知識を教える」だけではなく、親子で話し合う時間や、実際に考えてみるアクティビティを大切にしています。「こどもがなぜそう思うのか、私もきちんとこどもの話を聞こうと思います。」など、デジタルの枠を超えて、親子の関係性の改善にもつながっています。
本事業では、これまでPCの貸し出しをしている親子向けにクローズドで実施していた上記の講座を、会員であれば誰でも参加できるようにアップデートしました。さらに、団体外のコミュニティや学校などでも使えるよう、講座をもとにつくった動画教材に加え、アクティビティについて説明した活用ガイドやワークブックも公開しました。
親子で学ぶデジタルシティズンシップ教材
【B. ITキャリアイベント】
「好き」が将来につながる体験を
「パソコンを使うことが、将来にどうつながるのか分からない」
そんな声は、こどもだけでなく保護者からも多く聞かれます。将来のことを考える時、自分が知っている職業だけで考えてしまうため、なかなか選択肢が広がりません。
そこで、実際にIT業界で働く方々を講師としてお招きして、パソコンを使った仕事について知ることのできる、キャリア教育イベントを実施しました。
デザイナー、ゲームプロデューサー、ブロックチェーンエンジニア、脳科学✕ロボット研究者など。こどもたちがイメージできる気になる仕事から、普段は出会うことがないユニークな仕事まで、8人の多様な大人との出会いをつくり、のべ370人のこどもが参加しました。
講座ではただ話を聞くだけでなく、たとえば、一緒にデザインをしてみたり、仕事を体験できるようなアクティビティをして、こどもたちの好奇心を刺激できるように工夫しています。
「好きなことを仕事にできたり頼まれたら作って喜ばれるのがいいなと思った」「好きで続けている事がこの先将来に繋がっていくということが分かった」など、嬉しい気持ちの変化もこどもたちから届きました。
本事業では、デジタルシティズンシップ講座と同様に、ITキャリアイベントもオープンにし、また、これまで講師の方にお話いただいた内容を、IT・クリエイター職業図鑑としてまとめて、誰でも見られるようにしました。こどもたちからの質疑応答があることで、リアルな図鑑となるように工夫しています。
IT・クリエイター職業図鑑※今後アップデート予定
【C. ステップアップ教材と伴走支援】
「できた!」を積み重ねる仕組みへ
長く活動をしていると、こどもたちから「やることがなくなった」「難しくて挫折した」という声も出てきます。他のこどもと交流する中で、つい自分の作品を人と比べてしまったりすることもあります。自分が心から好きと思えるものに出会って、他の人のことが気にならないぐらい、思う存分作品づくりに没頭してほしい。そんな想いも込めて、「ステップアップコース」というマイペースで取り組める教材を開発しました。ステップアップコースでは、ゲーム開発、音楽・動画制作、3Dデザインなど、多様な教材を提供し、こども一人ひとりに対して、伴走支援を行っています。
本事業では、このステップアップコースの学習管理システムを自社開発し、市販のシステムでは難しかった、きめ細やかなサポートに対応、使い勝手が良くなったことで、こどもたちもコースに取り組みやすくなりました。また、音楽・動画の教材開発においては、こどもたちにアンケートをとり、好きな音楽や配信者などを確認したうえで教材に反映し、こどもがなりたい姿に少しでも近づけるようにしました。さらに、コースの一環として「ジュニア・プログラミング検定」に8名が挑戦し、丁寧に伴走支援を行った結果、全員が合格しました。PCの貸し出しをしているこどものうち、「チャレンジして『できた!』と思うことが増えた」というこどもは、全体の98.15%と高い数値になっています。
1年間の振り返り
・こどもの意見を聞き反映させること
・親子で一緒に考えられるようにすること
・安心して挑戦できる環境をつくること
・「好き」から学びにつなげること
を大切にしながら活動を進めてきました。
その中で、本年度の3つの取り組みは、1年間を通して大きくブラッシュアップすることができたと感じています。こどもたちの反応やアンケート結果、日々の関わりをもとに改善を重ねてきたことで、より困難を抱えるこどもたちにも届けられる形が少しずつ見えてきました。
2年目に向けて
こどもたち一人ひとりが、住んでいる場所や家庭環境に左右されず、デジタルを通して「できた」「楽しい」「もっとやってみたい」と感じられる学びに出会えるよう、これからも挑戦を続けていきます。
石川麻衣子さん