助成団体紹介
【助成先訪問】『学習性無力感』をもつ子ども・若者への新しい支援方法「部活動」
特定非営利活動法人 サンカクシャ(東京)
代表 荒井 佑介さん
2020年度前期の活動について、サンカクシャ代表の荒井さん、事業担当前沢さんからお話を伺いました。
中高生が安心できる居場所を提供 自立支援 住まいの提供も開始 『学習性無力感』を乗り越えるために 「部活動」の取り組み 部活動に参加した若者の声 訪問を終えて
子ども・若者が安心できる居場所を提供
孤立した子ども・若者が、信頼できる人と場を獲得し、多様な人や機会につながることができる居場所を提供するために、サンカクシャでは現在、豊島区と文京区に3拠点を構えて居場所事業を展開しています。
1週間に数日、14:00~21:00で開放されており、ボランティアの大学生や社会人と一緒にご飯を食べたり、ゲームをしたり、勉強したり、安心して自由に過ごすことができます。
訪問した当日もスタッフと一緒にお菓子づくりやゲームをするなど、楽しそうに過ごしている姿が印象的でした。
自立支援 住まいの提供も開始
自立支援を援助するため、今年の春に田端、夏には駒込で住まいの提供も開始されました。
コロナの影響により、ケアすべき子ども・若者が抱える問題がより深刻化しており、住居を必要とするケースも増えています。今後、居場所、住居ともに拠点を拡大しながら様々なケースに対応し、より丁寧なケアができる体制を整える予定だそうです。
『学習性無力感』を乗り越えるために
サンカクシャに登録している約60名の子ども・若者たちは、経済的困難、社会生活上の困難など様々な問題を抱えており、「親に頼れない」「学校や社会に馴染めない」など孤立しやすい環境に置かれています。また、成功体験が少なかったり、自分はダメだという思い込みを持ってしまったりと、何事に対しても前向きに捉えることが難しくなります。
学習性無力感とは...長い期間にわたって回避できないストレスを経験することで、その不快な状況から逃れようとする努力すら行わなくなってしまう現象。
学習性無力感を乗り越えるため、サンカクシャでは「部活動」という枠組みで、仲間と一緒に楽しいと思える体験や経験を提供し、子どもたちのやる気を引き出す事業をベネッセこども基金の助成を活用し2020年度よりスタートしています。
「部活動」の取り組み
8つの部活が活動中で、全76回23名の子ども・若者が参加しました(4-9月実績)。
「部活動」を実施する目的は、子ども・若者にただ楽しい体験や経験を提供するためだけではありません。
各分野の専門家や協力企業から講師を依頼し、子ども・若者がサンカクシャ以外の大人たちと接点や交流を持つことで、ロールモデルを身近に感じることができます。
上記で説明した通り、孤立感や無気力感を抱える子ども・若者にとって、年の近い大人との関係を構築することで、やる気や将来の興味関心の向上に向かうことから「部活動」が果たす役割は大きいと考えています。
部活一覧
・タイピング部・デザイン部・ウェブ部・動画編集部・英語部・スペイン語部・オンライン料理部・フットサル部
部活動に参加した若者の声
「企業の人と交流して、こんな仕事がおもしろいな!とか興味関心が増えた」
「将来どんな仕事に就きたいか、早く決めたいって思う、毎日今も考えている」
訪問を終えて
荒井さんの豊富なご経験の中で感じてこられた「学習力無力感」をもつ子ども・若者への新しい支援方法である「部活動」。
安定的に運営できる仕組み・体制の構築、部活動がもたらす学びの効果調査・研修、他地域で展開できるプログラム化という3カ年計画をご検討いただいています。我々も3年後に全国にこのプログラムが展開できるように、サポートしていきたいと思っています。