公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

【助成先訪問】地域の力を総動員 経済的困難な子どもに学習支援

特定非営利活動法人 ユースコミュニティー(東京都)

代表 濱住 邦彦さん

経済的困難を抱える子どもの学び支援

東京都大田区で、子どもの学習支援と居場所づくりを行っているユースコミュニティー代表濱住さんに、2020年度前期の活動についてお話を伺いました。

左:代表 濱住さん 中央:池上教室リーダー 宇津木さん 右:中間さん 池上教室にて
高校三年生のボランティアスタッフの中間さんは、学校の先生になることを夢見て子どもたちと向き合っています。



学習支援「池上教室」について 活動で大事にしている「地域力」 団体の課題 拠点リーダーの育成に向けて 広報活動を強化 訪問を終えて

学習支援「池上教室」について

お話を伺った「池上教室」は、池上駅から徒歩1分の場所に、毎週火曜日19:00~21:00で開設しており、中学1~3年生、12名の子どもたちが通っています。
2012年から大田区内のカフェや生協、公民館などを利用して実施している学習教室は現在、大田区内6拠点に、小学生~高校生世代の約90人が通っています。

(左)地域の施設などを借りて運用しているため、教材や辞書などはコンパクトに収納し、教室開校の都度準備
(右)教室に設置しているパソコンから、各自で好きな教科・単元のプリントを出力できる
スタッフさんの手作り数学の公式ボード

また、大田区からの委託で実施している学習教室(4拠点)では、約150名の中学生を支援しています。

大田区子どもの学習支援教室サイト

活動で大事にしている「地域力」

代表の濱住さんが大切にされていること、それは「地域力」です。
2012年の設立以来、地域の課題は地域で解決することをモットーに、様々な困難を抱える子どもたちの支援を通して、地域のコミュニティづくりや絆づくりを目指して活動されています。

コロナによる休校が決まった4,5月。教室を開くことができない中、地元の子ども食堂と連携して、食材の配布を実施されました。
学習支援や居場所のサポートだけではなく、食の支援も行うなど多方面からの支援を地域の人々と協力しながら実施することで、未来ある子どもたちが地域で生き生きと過ごせるサポートをされています。

団体の課題

地域や行政との繋がりが豊富で、学習支援活動に必要な教材や機器は沢山の協力を得ている一方、教室間の連携がうまくとれていないことや資金調達に課題を感じていたといいます。
将来的には、23区で最も広い区である大田区全域に教室を設置したいとの考えから、
①拠点リーダーを育成し、拠点間の情報共有を行う運営システムの確立
②ファンドレイジングの確立
③地域ネットワークの確立
の3点を重点実行項目とおき、今年度の活動に取り組まれています。

拠点リーダーの育成に向けて

拠点ごとのメインスタッフにヒアリングし、まずは現在の業務の棚卸から開始されました。
拠点リーダーの役割、ボランティアスタッフの育成方法など、経験に頼っていたことをすべて明文化してひとつのマニュアルに落とし込まれています。
最終的には、ボランティアさん向けに配布している「学習サポーターマニュアル」のように冊子化して、拠点リーダー以外も閲覧できる形を検討されていました。
現在、拠点リーダーを配置しているのは3教室。残り3教室は代表の濱住さんがリーダー業務を担っています。
完成したマニュアルをもとに拠点リーダー研修を実施して、次年度からは全教室に拠点リーダーが配置される予定です。

ボランティアさん向け「学習サポーターマニュアル」冊子

広報活動を強化

HPやSNSを活用したボランティア募集にも今年度から力を入れられています。
その効果は絶大で、広報開始後、ボランティアの数は50名から150名と3倍になるなどネットの効果を実感されていました。

ボランティア募集サイト

訪問を終えて

濱住さんが目指されている「地域の課題は市民や行政が一体となって地域で解決していくこと」。解決へ向けての取り組みや仕組みづくりについて、本助成をご活用いただいています。
地域によって子どもの抱えている課題や解決方法は様々だと思います。しかし、地域全体で地域の子どもたちを見守り育てていく姿は、全国共通で目指すべきことではないかと改めて感じました。
我々も3年後に各地域でユースコミュニティーが築いてこられたネットワークの方法などを全国に展開できるように、サポートしていきたいと思っています。



ユースコミュニティー HP

ユースコミュニティー助成事業紹介|地域の力を総動員して取り組む学習支援

2021年度<経済的困難を抱える子どもの学び支援活動助成>採択団体一覧

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