公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

2020活動報告|事業運営委員会の実態と工夫点

特定非営利活動法人 暮らしづくりネットワーク北芝(大阪)

経済的困難を抱える子どもの学び支援

2020年度の活動の実行項目の1つである学習支援事業「てらこーち」の事業運営委員会の実態と工夫点についてご報告いただきました。事業の詳細などは以下からご覧ください。

2021年度事業紹介|地域で暮らす人たちが「出会い・つながり・元気」を求めて

【助成先訪問】地域資源場所を活用した学習支援「てらこーち」を開始




2020活動報告|事業運営委員会の実態と工夫点


事業運営委員会の発足背景と目的 事業運営委員会構成メンバー 事業運営委員会の活動内容 1年間の総括と2年目に向けて

事業運営委員会の発足背景と目的

これまで地域の子どもたちの学力に関して支援が必要だという声が保護者から挙がっていた。
箕面市としても学習支援事業をすでに展開していたが、制度の対象外となるケースや、特性がある子どもに対する支援体制が十分整っているとは言えない状況が続いていた。

この課題を当団体だけで解決するには人的・資金的リソースに限界があると考えたため、事業運営委員会を発足。その委員会のメンバーは、地域住民・学校・保護者・行政といった各セクターから、様々な経験を持つ人によって構成されている。

従来型の学習内容に特化した支援ではなく、これまでに地域で活動を行ってきた当団体の人的つながりを最大限に活かして、地域住民・学校・保護者・行政との協働のもと効果的かつ持続可能な支援を目指し、日々模索している。

保護者との会

事業運営委員会構成メンバー

・小学校(人権教育担当、校長)
・中学校(人権教育担当、校長)
・行政4部局
 ①子ども未来創造局 教育センター(教育相談担当)
 ②子ども未来創造局 子ども成長見守り室
 ③子ども未来創造局 人権施策室(人権教育担当)
 ④子ども未来創造局 学校教育室(学力向上担当)
・教員OB(元校長先生、元人権担当教員)
・大学生サポーター※
・保護者※
・大阪大学 大学院人間科学研究科 髙田一宏
・タウンペースWAKWAK 事務局長 岡本工介
・あっとすくーる 代表 渡剛
※議題により参加

てらこーち運営委員会

事業運営委員会の活動内容

運営委員会では課題・目的ごとにワークショップを実施した。子どもの学習というテーマを通して、各参加者の家庭の背景について想いを馳せる機会が多かった。本事業への関心の度合いや家庭環境の差異といった様々な要素が絡む中、どのようなアプローチが求められているのかという点について関係機関とともに悩み、意見を出し合うことができた。その過程の中で連携が深まったと感じている。

◆年間の活動実績
6月 保護者の集まり:趣旨説明、保護者の声を集めるワーク
6月 運営委員会:趣旨説明、先進地事例紹介、あるべき学習の姿ワーク
7月 運営委員会:進捗報告、事例検討ワーク
8月 運営員会:教材を考える会
9月 ソーシャルワークと教育研究:高槻の取組より(子ども食堂と学習支援を通した、地域におけるこども支援ネットワークの形成)
10月 運営員会:実施報告、保護者フェーズを考えるワーク
11月 ソーシャルワークと教育研究:北芝地区における地域教育の取り組み
12月 運営委員会:進捗報告、保護者懇談にむけてワーク
1月 ソーシャルワークと教育研究会:福祉と教育の連携について
2月 運営委員会:サポーターと学習方針を考える会
3月 運営委員会:進捗報告、子の学習に向かう意欲指数を考えるワーク

◆トピック:3月 運営委員会:進捗報告、子の学習に向かう意欲指数を考えるワーク
具体的な指数の原案を出す前に、各参加者がどのような家庭・学習環境の中で育ち、どのように学習に向き合え(た/なかった)のかシェアする機会があり、日ごろ無意識に行うこと、作りだしている環境が子どもに与える影響が大きいということを再確認できた。子どもの成長には豊かなつながり(社会関係資本)が不可欠であり、地域や学校でどのように補完するか考えるきっかけとなった。

地域のご家庭で

1年間の総括と2年目に向けて

◆1年目総括
① 個別の学習課題や行動パターンなど、てらこーち利用者の大まかな傾向を把握することができた。またその多くは学習習慣、学力の課題があることが浮き彫りとなった。
② 個別の学習課題の背景にある家庭・養育環境、保護者の学歴、学校での課題など、学習を通して見えてきた福祉課題に対して、学校と保護者、地域との連携のありかたについて一緒に考える機会を持てた。
③ ①と②で見えてきた課題・傾向について運営委員会の構成機関メンバーとともに、具体的にどういうアプローチが必要なのかという点について考え、連携した上で対応することができた。
④ 大学生サポーターの中から数人が運営委員会に参加する事で、1. 担当児童の学習支援の方向性について学校と意見交換すること、2. 自身の幼少期の学習環境を振り返ることを通して担当児童が学習に向き合え(る/ない)要因は何かなどを考えることができた。その結果、日々どういったアンテナを立てて子どもへ関わるか、どのような声かけをする必要があるのか、ともに学ぶことに繋がった。

◆2年目に向けて
・保護者向けの場を多く持つことが出来なかった。保護者の関心のあるテーマを通じて、家庭の中での子に対する関わり方や学習に対する関心を高めていける方法を考える場を開きたい。また3年次以降の本事業利用者負担についても、保護者の率直な意見を聞いて行きたい。
・助成終了後の事業継続に向けて、地域の実情を知りアクターと連携した上で地域特性に合わせて教育に取り組むことのできる『地域の教育コミュニティ』として、運営委員会を位置付けていけるよう舵取りする。
・上記を進めていくためにも、本事業の成果アウトプットを意識していかないといけない。そのための成果指標づくりも試行していく。

特定非営利活動法人 暮らしづくりネットワーク北芝

事業担当者

埋橋 美帆 さん

まちづくりの拠点となるコミュニティスペースづくりや多様な人が集えるカフェのたちあげ、イベント企画等の企画開発業務に従事。2015年より連繋団体であるイーチ合同会社企画開発業務に携わったのち、2018年より指定管理施設である「らいとぴあ21(箕面市萱野中央人権文化センター)」にて組織マネジメントや地域教育部門コーディネーター、総合生活相談事業の相談員を務める。



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