公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

2021活動報告|子ども食堂での学習支援で子どもの貧困の連鎖を断ち切る地域モデル構築事業

特定非営利活動法人フードバンク北九州ライフアゲイン

経済的困難を抱える子どもの学び支援

1年目の助成期間を終え、「学習支援を充実させ、子ども食堂をプラットフォームとした子どもの貧困の連鎖を断ち切る地域モデル構築事業」についてご報告いただきました。
事業の詳細などは以下からご覧ください。

採択団体一覧|2021年度<経済的困難を抱える子どもの学び支援活動助成>

【助成先訪問】フードバンク北九州ライフアゲインのオンライン学習支援とこども食堂を訪問しました!




コロナ禍でのオンライン学習プログラム開発の概要、結果 ボランティアの質向上 ボランティアの声 こども食堂をハブとした地域との協働と抱負 1年間の総括および次年度の取り組み概要と抱負

コロナ禍でのオンライン学習プログラム開発の概要、結果

2021年度は4月からの新しい無料学習塾の運営に向けての準備期間でした。その期間で感じた無料学習塾の強みは一般の進学塾と違い、高校や大学に直接、SDGs教育の一環として働きかけができ、学校側も積極的に生徒に対して周知協力をしてくださったことだと実感しています。
また、学生の参加希望は毎週もあれば、月1回や2回など様々であり、その要望に応えるためにマンツーマン指導ではありますがチーム指導制を設け、一人の塾生を複数の講師がケースバイケースで指導するスタイルをとっています。
その結果、ボランティア学生の関わるハードルが下り、多くの学生がボランティアとして登録してくれました。
無料制度を設けずに低額の学習支援を行っていた時は、進学塾との差別化ができず、毎年ボランティア講師の確保で右往左往していました。現在は塾生の定員は60名、講師は高校生・大学生が中心で100名程が登録しています。

無料学習塾のオンライン学習風景
無料学習塾のオンライン学習風景

ボランティアの質向上 ボランティアの声

2021年度は、3つの重点項目を立ててビジョンを描き、取り組みました。
ビジョンは子ども食堂を町の人々や地元企業・大学等をつなぎ合わせるプラットフォームとし、つなぎ合った人々で助け合え、人々が孤立しない町を実現し、子どもの貧困を含めた負の連鎖を断ち切れるモデル地区を構築することです。その中でどうしても子ども食堂ではつながりにくい、しかし多くの課題が表面化してくる思春期の世代との接点を持つために、私たちは学習支援を手段として選びました。
接点となる手段は子ども食堂や学習支援と様々ですが、ボランティアスタッフが心得ておくことは「活動を通してその子がかけがえのない大切な存在であることを伝える」ということです。ボランティアスタッフはその1点のみを忘れずに子どもと接してくれるので、本当に素晴らしい笑顔と忍耐をもって子どもに寄り添ってくれています。

子ども食堂「尾倉っ子ホーム」の受付風景
子ども食堂「尾倉っ子ホーム」の遊び風景
子ども食堂「尾倉っ子ホーム」の調理メンバー※地域の母親クラブの方々

こども食堂をハブとした地域との協働と抱負

学習支援や子育て支援を行っている団体の中には、少数のスタッフが運営を担っていることも多かったり、コロナ禍の対応として他団体からの訪問に対応することが難しくネットワーク構築のための訪問ができないことがありました。
このような状況でもオンラインも活用しながら、お互いの持つリソースを連携し使っていけるように活動を進めたいです。
私たちは、2つの子ども食堂を運営し、その小学校区で地域の方々と協働して子どもの貧困を含めた負の連鎖を断ち切れるモデル地区をめざしていますが、当初予定していた小学校区ではなかなか地域との協働が進みませんでした。
それは町の主だった方々に対して丁寧な説明が為されていなかったからです。ですから2つ目の小学校区ではその反省点が活かされ、丁寧な説明を繰り返したことでスムーズに協議会が結成され、一緒に子ども食堂を運営し、まちづくりの協議を定期的に持っています。
次年度は町づくりに精通しているファシリテーターを置き、実際にまちづくりを協働して行う関係者の共通価値を見つけ、その価値観をもって目指すべき具体的施策を打ち出していきたいと願っています。
子ども食堂をプラットフォームにして町の人々をつなげていく取り組みは、主体が我々NPOから町の人々にシフトしていけるよう共通の価値観を関係者がしっかりと意見交換を重ね、まとめ上げていくことが大切だと感じています。

子ども食堂「尾倉っ子ホーム」のフードパントリー風景
子ども食堂「ちゅうおうまち食楽福亭(たらふくてい)」の食事風景

1年間の総括および次年度の取り組み概要と抱負

2021年度は取組の初年度でした。無料学習塾も準備期間であり、子ども食堂をプラットフォームしてまちづくりを行うのも手探り状態でした。しかし、次年度は無料学習塾も実際に運営が始まりました。子ども食堂をプラットフォームにしてのまちづくりもモデル地区を定めました。
ですから2年目にあたる次年度が具体的な課題が見え、改善点を見極める大切な年となります。
PDCAサイクルをしっかりと回し、最終年度となる3年目には子どもの負の連鎖を断ち切れるモデル地区の姿が垣間見えるよう精一杯尽力していきます。

子ども食堂「ちゅうおうまち食楽福亭(たらふくてい)」にブース参加する九州電力㈱の皆さん(イライラ電気棒)/figcaption>
子ども食堂「ちゅうおうまち食楽福亭(たらふくてい)」にブース参加する大英産業(株)の皆さん(出張こども大工)

認定NPO法人フードバンク北九州ライフアゲイン

フードバンク北九州ライフアゲイン理事長

原田昌樹 さん

2000年4月「北九州希望の光キリスト教会」の牧師として活動を開始。翌年、任意団体ハッピーアワークラブを設立し、子育て支援に取り組む。その後も北九州市で里親登録し養育里親としての活動、駅前での夜回り活動、自宅近隣で8軒の借家を利用し自立支援の活動などに取り組む。2014年よりフードバンク北九州ライフアゲイン理事長。

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