助成団体紹介
2023活動報告|外国につながる子どもが学べる日本語ICT教材を、試行錯誤しながら開発
特定非営利活動法人 eboard
2年目の助成期間を終え、活動の成果をご報告いただきました。事業の詳細などは以下からご覧ください。
2022年事業紹介 外国人散在地域での支援をサポートする「外国につながる子を対象とした日本語ICT教材」の検証・開発事業 2022活動報告|外国人散在地域での支援をサポートする「外国につながる子を対象とした日本語ICT教材」の検証・開発事業
事業の目的 2023年度の取り組み 2023年度取り組みの結果 2年間の総括及び次年度の取り組み概要と抱負
事業の目的
日本語指導を必要とする児童生徒数は年々増加しており、令和3年には約58,000人と9年間で1.8倍になりました。一方、日本語教師の数はほぼ横ばいです。学校に日本語教師や支援者を配置する財源確保も難しく、今後も支援者不足は続くと予想されます。「特別の教育課程」で行われる日本語指導は時間数や期間が制限され、十分な支援がないままに通常教室での学習に参加せざるを得ない子が多くいます。
こうした状況を踏まえ、日本語指導が受けられない、支援者がいないなどの環境であっても子どもたちの学びを支援できる教材を開発し、支援現場に広めることを目的に事業を進めています。
2023年度の取り組み
助成2年目となる2023年度は、1年目に行った調査をもとに日本語ICT教材の開発を進めました。事業目的として設定している課題に対して、たとえ支援が少なかったとしても、通常教室での学習の困難を緩和できるよう本教材の開発を開始しました。開発初期は、サンプルを作成して現場で使ってもらい、フィードバックを得て改善、さらに活用してもらってフィードバックをもらう、ということをくり返しながら教材の仕様を決定しました。
教材作成にあたっては、対象となる子どものペルソナを作成し、子どもたちの日本語能力や抱えている困りを具体的に共有することで、作成メンバー間での対象者イメージの共有を図りました。作成にあたっては、内容ごと、作成パートごとに担当者を割り振り、効率的かつメンバーが作業しやすい作成体制を作りました。
2023年度取り組みの結果
本教材を作成するには、子どもの日本語能力および学習でのつまずきのポイントを理解している必要がある一方、全ての教材作成担当者がそうした子への指導経験が豊富というわけではなく、想定以上に作成が難航しました。その都度、作成体制の見直しや作成範囲の再検討をくり返し、当初の計画のうち核となる範囲の作成は完了する見通しを持つことができました。
2年間の総括及び次年度の取り組み概要と抱負
本教材のコンセプトは、日本語指導を受ける子どもたちが抱える困難を緩和するものであるものの、指導時に効果的に活用しやすいものかどうかはまだ見えていません。この教材の価値を確かにするためにも、3年目は教材の完成および一般公開とともに、効果的な活用方法を現場の支援者にご協力いただきながら探り、教材のユースケースとしての公開をめざします。
中村 孝一 さん
大学在学時、学習塾や学習支援現場での経験から、子ども達の学習課題を痛感。外資系コンサルティング会社勤務を経て、eboardを創業。2016年より、世界経済フォーラムGlobal Shapers Osakaハブメンバー。