公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

2024活動報告|放課後の居場所として学習や活動、交流を盛んに行っています

認定特定非営利活動法人 ミタイ・ミタクニャイ子ども基金

経済的困難を抱えるこどもの学び支援

2年目の助成期間を終え、活動の成果をご報告いただきました。事業の詳細などは以下からご覧ください。

2023年事業紹介 横浜市の県営団地におけるこどもたちの居場所づくりプロジェクト 2023活動報告|「えんぴつルーム」での学習支援、食支援などを通してこどもの居場所ができた

事業の目的 2024年度の取り組みと結果 1年間の振り返り 3年目に向けて 地域との連携について

事業の目的

本事業は、こどもの居場所を展開することを通し、団地ならびに団地周辺に住むこどもたちの学習状況と食事状況の改善をめざすものです。また、団地には外国につながる方々も居住されており、多文化共生をめざす取り組みも行っていきます。
2年目である2024年度は、団地内や周辺地域での多文化共生が促進されることをめざしました。
3年目は、近隣地域住民や組織/団体が本事業のアクターとして参画し、次年度以降の計画策定・資金調達にかかわることをめざします。

2024年7月27日に実施したプール遊びと工作。保護者も参加し、神奈川県職員、横浜保土ケ谷社会福祉協議会、地域の方々の協力もあり、とても学びの多い楽しい時間となりました

2024年度の取り組みと結果

・本事業の団地内での定着化
①こどもたちを対象とした学習支援、学習意欲の向上
えんぴつルームにおいて、宿題やテキストなどを用いて学習する習慣が定着しました。また、こども達が自ら勉強に取り組むことも増えました。さらに、わからない問題はスタッフに尋ねて解消しようとするこどもも何人か見られるようになりました。さらに加えて、宿題を自宅で済ませ、えんぴつルームでの工作や自由遊びなど大学生たちとの交流を楽しみにしているこどもたちも増えてきました。これらの様子は、こども達がえんぴつルームを利用することで、学習習慣が身についてきたことに加え、こども達がありのままでいられる空間、学びたいこと、吸収したいことを自分で考え、創造できる空間になってきた証でもあると考えています。
参加したこどもは2024年12月末時点でのべ272名(開催数32回、含む横浜国立大学地域課題実習)、大学生ボランティアのべ73名、秋祭り参加者スタッフ8名、地域の方74名=外部者59名、合計404名。

②こどもたちを対象とした食支援
1年間継続して、ジャンボリア様やその他の企業様、横浜市社会福祉協議会様から食料や飲料等のご支援をいただけました。そのおかげで、月2回のお弁当配布を6月より継続することができ、参加するこども達の増加にも大きく寄与しました。また、外国につながるこども達や生活保護のこども達も受け入れることができました。現在は管理栄養士のアドバイスも受け、ハラール食の試作中です。のべ218名のこども達にお弁当あるいはおにぎり、菓子などを提供したことから、すでに145%の達成率となっています。

③多文化共生支援
団地内の外国籍のご家庭とコミュニケーションを取るようになり、またバングラデシュ出身のご家庭のこども3名がえんぴつルームに参加してくれるようになり、真の意味での多文化共生が育まれていると感じています。
参加したこどもは2024年12月末時点でのべ272名(開催数32回、含む横浜国立大学地域課題実習)、大学生ボランティアのべ73名、秋祭り参加者スタッフ8名、地域の方74名=外部者59名、合計404名になりました。

ベネッセこども基金助成金で購入した教材の一部。2024年度は宿題を自宅で済ませてえんぴつルームで新しいことに取り組もうとするこどもも増えました。2025年には新しい教材と本棚の設置を検討中
食料や飲料等の支援をいただき、こどもたちに満足のいくお弁当提供などができました。野菜が必要な時にはベネッセこども基金の助成金を用い、こどもたちと一緒にスーパーに買い出しにいくこともありました

1年間の振り返り

9カ月を振り返って、日本人のこども達も外国につながるこども達も、参加してくれたこども達にとってえんぴつルームが居場所になっていると感じることが増えてきたように思います。たとえば、最初の頃と比べて参加してくれるこどもが増えたこと、最初は全然勉強したくないと言っていたこどもが、自分から進んでテキストを選び勉強しようとしていること、掃除や片付けなどに積極的に参加してくれる様子が見受けられるようになったことなどです。また、「学校の先生は話を聞いてくれないけれど、えんぴつルームの先生は話を聞いてくれるからここが好き」というこども達がいたりするなど、居場所感が高まっていることを示します。これらは何気ないことですが、こども達の中で、えんぴつルームが存在感のあるものになっているから現れる行動、反応かと思います。次年度も、今年度やってきたことを継続していきたいと思います。

2023年度は月1回開催であったえんぴつルームの開催を、ベネッセこども基金の助成で月4回開催できるようになったこと、2024年度は月2回の食支援ができるようになったことなど、外部の方のサポートが大きくなってきたこと、外国につながるこども達の参加が定常化してきたこと、プール遊びや落ち葉拾い、図鑑づくり、クリスマス会などのイベントの際には15名以上の参加があったことなどから、活動規模の拡大を感じています。また、活動頻度が増えたことによりこども達と運営メンバー、外部サポーターとの関係が構築され、こどもの様子や成長をきめ細かく見守りながらも、えんぴつルームが世の中に周知されるなど活動を発展させることもできました。

えんぴつルームにおけるこどもの居場所づくりは、引き続き試行錯誤の繰り返しでもあります。こどもの居場所づくりをめざしていることから、ルールを増やしすぎず、指導をしすぎず、しかしながら、こども達が安全安心に過ごすための工夫について話し合うことがありました。どんなルールだといいのかと話し合い、襖を仕切ってみるということで勉強と遊びの空間がそれなりに切り分けられることができたことは良かったと思います。外遊びも数回実施し、安全面のルールなどの見直しも検討しました。100%けがを防ぐことはできないけれども、大事に至らないようなリスク管理は必要であり、万が一けがをしても学生スタッフが保護者にけがの経緯を説明できるよう、えんぴつルームの図面を見ながら、どこにスタッフがいればえんぴつルームのすべての場所を把握できるかなどの話もしました。今後も、安全対策に留意しながら、えんぴつルームの運営に取り組みたいです。

また、食支援を月2回に増やすことができたことは本当に良かったです。こども達に喜んでもらえています。何らかの事情で朝食や昼食を食べることができていないこどももいらっしゃっています。

横浜国立大学地域課題実習と連携しており、大学生たちのアイディア満載の活動がこどもたちにとって大きな魅力になっています。プール遊びでは工作を行い、そこで作ったものをプールに浮かべて遊ぶなど、限られた時間の中でも多くのアクティビティができました。参加したこどものみならず保護者にも好評でした

3年目に向けて

3年目の取り組みは、定着しはじめた外国につながるこども達のための食支援を充実させることです。ハラール食を提供できるよう準備をしていきたいです。また、食事のサポートのためにはどうしても車が必要な場合があり、外部の方のサポートがあると助かる場合が何度かありました。今後はさらに外部の方との連携を深め、3年目が終わるころには地域の方々のさらなる支援が入ってくるように準備をしていきたいです。

バングラディシュから来日し、日本で暮らしているご家族からお菓子のつくり方を習った学生リーダー。外国につながる方にも食して頂けるお弁当提供を3年目はめざしていきます

地域との連携

横浜保土ケ谷社会福祉協議会、民間企業、横浜にあるライオンズクラブ様への連携をさらに深めていきたいです。今後も地域のアクターとさらに連携し、3年目以降の活動につなげていく基礎固めをしたい。

自治会館でのクリスマス会。地域の方々にも広く認めて頂けるようになってきました。今後も地域のアクターの皆様とともにより良い活動を展開できるよう尽力したいです

ミタイ・ミタクニャイこども基金

理事長

藤掛洋子 さん

横浜国立大学都市科学部長・教授、都市イノベーション研究院教授。
文化人類学、開発人類学、ジェンダーと開発学の視点から国際協力や人々のエンパワーメントについて研究・実践を行う。
1993年JICA海外協力隊パラグアイ派遣、その後、JICA専門家としてパラグアイ、チュニジア、ペルー、ホンジュラスなどでこどもや社会的弱者支援に関わるとともに政策立案も行う。
1995年にNGOミタイ基金を設立。2014年法人化、2017年パラグアイ大統領府承認、2021年認定NPO承認。2020年よりパラグアイでの学校建設とサポート経験を活かし、福岡と横浜でもこどもの居場所事業を開始。

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