助成団体紹介
2024活動報告|学校内外の居場所作りを実施。取組みから見えたことと今後について
特定非営利活動法人 COCONI
3年目の助成期間を終え、活動の成果をご報告いただきました。事業の詳細などは以下からご覧ください。
2022年事業紹介 経済的困難等を抱える中学生のための学校を中心とした支援ネットワークモデルの開発 2022活動報告|学校を中心としたこども支援ネットワークモデルの開発1年目の報告 2023活動報告|学校を中心に多様なつながりを作り、こども支援ネットワークを構築
事業の目的 事業の内容 事業の結果 事業の成果 課題および今後の展望 3年間の助成を振り返っての感想
事業の目的
こどもに関わる大人たちがネットワークをつくることで、孤立するこどもを生まないことを目的に、1年目は摂津市の現状把握と先進事例などの情報収集を行い、ビジョンの共有や実施内容の検討を行いました。
2年目は引き続き情報収集と対話の場を設け、具体的な取組みに向けての試行を行ってきました。
最終年度において、コミュニティ・スクールの推進、学校内居場所の試行、学校外居場所の試行と、大きく3つの取組みを行いました。
事業の内容
- コミュニティ・スクールに向けて
- 学校内居場所の設置と試行
- 学校外居場所の設置
別府小学校の学校運営協議会が立ち上がり、COCONIは委員長として地域や保護者との取組みを推進してきました。PTA主催行事の連携に加え、保護者や地域の方による授業支援を行いました。
今後、様々な場面に多様な大人が関われるよう、また、連携の準備に先生の負担が増えないよう、地域コーディネータを中心とした仕組みづくりを進めていきたいと考えています。
すべてのこどもが安心して学校に通うことができるよう、先生や保護者、地域の方との対話を重ね、学校内居場所を作り、試行しました。別府小学校では、学校内居場所や地域交流のできる部屋を地域の方、保護者、先生とともに作りました。第四中学校では、教育支援ルームの要素と昼休み、放課後の誰でも来られる居場所の要素を持った学校内居場所の試行を行いました。どちらの取組みも2025年にも引き継がれました。


先生以外の大人に見守ってもらえる居場所「宿題カフェ」を市内に2カ所開設しました。協力団体は週に1日、放課後に自習の場を提供します。こどもたちは大人が見守る中で宿題をし、終わったら"ごほうびジュース"がもらえます。この取組みは、学校教育課と子育て支援課が連携し、社会福祉法人の協力を得て実現しました。2025年度には、ジュース代などが予算化され、今後も順次市内に増やしていく予定です。

事業の結果
・学校(小学校1校、中学校1校)に学校内居場所を開設
・中学校の居場所運営を教育委員会・学校とともに実施
・学校外居場所「宿題カフェ」を2カ所開設
・地域連携プログラム、キャリア教育プログラムを実施
・コミュニティ・スクールを教育委員会・学校と共働にて推進
・全校区の教員、保護者、地域の方に参加いただき報告会を開催
・報告書の作成
事業の成果
・行政内、行政と社会福祉法人、学校と地域など多様な連携の推進されたこと
・こどもの権利の視点が広がり、こどもを中心とした取組みが行われたこと
・教育委員会、学校から相談をいただける信頼関係性が築けたこと
・翌年度も引き続き共働で取組むこととなったこと
課題および今後の展望
-ふりかえりとこれから-
本助成事業の申請に至るきっかけは、経済的、家庭背景に困難のある中学生であったことから、「経済的困難等を抱える中学生のための学校を中心とした支援ネットワークモデルの開発」として応募し採択されました。助成開始時に、現状把握のための学校訪問や、教育委員会、学校の先生方のヒアリングを重ねる中で、学校現場には課題を抱えるこどもたちを見取る余裕がないことに気づきました。その遠因のひとつに、学校をとりまく大人同士のつながりの希薄さがありました。摂津市に限らず、社会の変化やコロナ禍の影響を受け、保護者同士のつながりや、学校と保護者、学校と地域といったつながりが少なくなり、こどもをとりまく問題が当事者間で解消されることがなく、学校や教育委員会に向けられている構図が浮かび上がります。
こどもたちとの会話から多く聞かれたのは人間関係の困りごとで、こどもたちの困りごとは経済的なことだけでないことも見えてきました。様々な課題を抱えるこどもたちのセーフティーネットとなるのは、身近な大人のつながりがベースにあり、支援が必要なこどもを見取ったときに機能する支援ネットワークであると考え、こどもたちを受け入れる場づくりと人の繋がりに取組むことになりました。
結果、コミュニティ・スクールを中心としたつながり作り、学校内外の居場所の設置につながりました。立ち上がったこれらの取組みは2025年度も継続して行われています。この取組みが、行政の担当者や学校の管理職が替わっても継続できるよう引き続き保護者や地域の方と連携し進めていきます。
3年間の助成を振り返っての感想
ふりかえればあっという間の3年間でした。年々、活動の幅も広がり、最終年度は週の半分は摂津市にいるような状況となりました。新しいこと、変化を伴うことには、日常に伴走してくれる人、コーディネートしてくれる人の存在が必要だったのだろうと思います。大変な取組みでしたが、先生方と信頼関係ができたことで得られた成果だったと思います。2025年度も引き続き摂津市教育委員会さんと共働できることになりました。COCONIが離れても、摂津市のみなさんが継続できるように仕組み化する4年目になりそうです。
水木千代美さん
前職は商業施設の企画設計に従事。PTA本部役員から自治会に関わり、2011年大阪府吹田市に、こどもからお年寄りまでが集う居場所「さたけん家」を地域のみなさんと開設。2013年より学習支援やこども食堂をはじめ、その縁で繋がった教育者や支援者とともに2020年に「すべてのこどもたちが一歩先への希望をもてる社会」をめざし、NPO法人COCONIを立ち上げた。
キャリアコンサルタント/キャリア教育コーディネーター/二級建築士