助成団体紹介
2025活動報告|大学生主体で拠点拡大。学習支援と"居場所"づくりを両立するBORDER FREEの挑戦
特定非営利活動法人 BORDER FREE
2年目の助成期間を終え、活動の成果をご報告いただきました。事業の詳細などは以下からご覧ください。
放課後学習教室(いつでも大学生に質問できる勉強スペース、家庭、学校に次ぐ第三の居場所としての機能) 、さくら教室(高校受験や英検試験対策行う集団授業形式の事業)業
大学生主体で運営していることの価値・工夫
社会福祉協議会との連携
居場所の価値 × 社会的意義
1年間の振り返り
3年目に向けて
弊団体の特徴の一つは、現役大学生が主体となって教室運営を行っている点にあります。講師として学習支援を行うだけでなく、教室運営や広報、組織運営までを担うことで、主体的に事業を推進しています。
本事業では、多摩市社会福祉協議会と連携し、支援が必要なこどもたちへのアプローチ強化と、継続的に通える環境づくりに取り組んでいます。
本事業においては、学習支援の提供だけでなく、「こどもたちにとって安心して通える居場所であること」を重視しています。経済的な事情や家庭環境、学校生活における困難など、さまざまな背景を抱えるこどもたちにとって、放課後に安心して過ごせる場所があることは、学習意欲や自己肯定感の向上に大きく寄与すると考えています。
2025年度は、団体として拡大と仕組み化を大きく前進させた1年となりました。放課後学習教室およびさくら教室において複数拠点での運営を安定させることができ、生徒数の増加とともに、継続的に通う生徒の割合も高まりました。
2026年度は、これまでの拡大フェーズから一歩進み、質の向上と持続可能な運営体制の確立を重点テーマとして取り組んでいきます。
早稲田大学国際教養学部4年。
2024活動報告|複数の場所で放課後学習教室を実施。大学生を主体にチームで運営
大学生主体で運営していることの価値・工夫
大学生が主体であることの強みは、生徒との距離の近さにあります。年齢が近いからこそ、生徒が抱える学習面の不安だけでなく、学校生活や進路に関する悩みにも寄り添いやすく、安心して相談できる関係性を築くことができます。その結果、単なる学習支援にとどまらず、生徒が継続的に通いたくなる「居場所」としての機能につながっています。
さらに、拠点を拡大していく中で、教育格差という社会課題に本気で向き合う大学生が全国的に増えている点も、本団体の重要な価値であると考えています。教室運営に関わる学生一人ひとりが現場で課題に触れることで、当事者意識を持って行動する人材が育まれており、学習支援の提供にとどまらない社会的インパクトの創出につながっています。
一方で、大学生主体の運営は、経験不足や運営のばらつきといった課題も伴います。そのため、講師研修の実施や授業内容の共有、運営マニュアルの整備などを進めることで、組織としての再現性と安定性を高める取り組みを行っています。
このように、大学生の主体性と組織的な仕組みづくりを両立させることで、柔軟性と継続性を兼ね備えた学習支援の実現を目指しています。
社会福祉協議会との連携
具体的には、社会福祉協議会を通じて各学校や関係機関へチラシを配布することで、経済的な事情や家庭環境により学習機会が限られているこどもたちへ情報を届けています。実際に、社協経由での紹介をきっかけに入会する生徒も多く、支援が必要な層へのリーチにつながっています。
また、教室の実施場所として、市が管轄する施設を活用するなど、行政資源を活かした運営も行っています。これにより、民間団体単独では確保が難しい安定的な活動拠点を確保し、継続的な教室運営が可能となっています。
さらに、必要に応じて生徒の状況を共有しながら連携することで、学習面だけでなく生活面も含めた包括的な支援につなげています。例えば、家庭環境に課題を抱える生徒については、関係機関と情報を共有することで、無理なく通える環境づくりや継続支援を実現しています。
このように、社会福祉協議会との連携は、「支援が必要なこどもに確実に届く仕組み」として機能しており、単発的な支援ではなく、地域全体でこどもを支える体制づくりにつながっています。
居場所の価値 × 社会的意義
実際に、教室に通う中で、最初は自ら質問することが難しかった生徒が徐々に主体的に学習に取り組むようになるなど、小さな変化の積み重ねが見られています。また、講師や他の生徒との関わりを通じて、人とのつながりを感じられる場としても機能しています。
こうした居場所としての機能は、短期的な学力向上にとどまらず、こどもたちが将来にわたって社会と関わっていく力を育む基盤になるものと考えています。そのため、本団体では今後も、学習支援と居場所づくりを一体的に捉え、継続的に取り組んでいきます。
1年間の振り返り
特に、大学生主体の組織でありながら、講師研修や授業内容の共有、保護者との連携などの仕組みを整備したことで、教室間での支援の質のばらつきを抑え、一定水準の学習支援を提供できる体制を構築することができました。
また、さくら教室においては受験対策の強化に取り組み、2025年度の高校入試では中学3年生の受講者全員が都立高校に合格するなど、学習成果の面でも一定の成果を上げることができました。
一方で、課題も明確になりました。教室ごとの出席率のばらつきや、広報による新規生徒の獲得の難しさ、運営メンバーのリソース不足など、拡大に伴う運営面での課題が顕在化しています。
これらを踏まえ、本年度は単なる規模拡大だけでなく、「継続して通える仕組み」や「安定した運営体制」の重要性を強く認識する1年となりました。
3年目に向けて
具体的には、まず既存教室の運営体制を強化し、生徒一人ひとりに対する個別フォローの質を高めるとともに、出席率の向上や継続率の改善を図ります。また、講師育成の仕組みをさらに強化し、大学生主体であっても安定的に高い質の支援が提供できる体制を整備していきます。
広報面においては、これまでのSNS中心の発信から、地域に根ざした広報活動へとシフトし、学校や行政、地域メディアとの連携を強化することで、より支援が必要な家庭へのリーチを高めていきます。
さらに、中長期的には全国展開を見据えつつも、まずは多摩地域におけるモデルを確立し、再現可能な学習支援の仕組みとして他地域への展開を目指していきます。
今後も、こどもたちにとって安心して通える居場所であり続けると同時に、学習面での確かな成果を提供できる団体として、活動を発展させていきます。
小島慶久 さん
大学在学中よりBORDER FREEの活動に参画し、全国の放課後学習教室および集団授業の運営に携わる。2026年度より理事長に就任。
創設者ではないメンバーが理事長を務める初めての代として、団体の理念やこれまでの活動を引き継ぎながら、組織として持続的に成長していく体制づくりに取り組んでいる。
教育格差の問題に関心を持ち、現場での学習支援や教室運営を通じて、こどもたち一人ひとりに寄り添う支援の重要性を実感。現在は団体全体の運営を担いながら、拠点拡大と支援の質向上の両立に取り組んでいる。