助成団体紹介
2025活動報告|私が動く、誰かと繋がる。その一歩をここから
一般社団法人 UMEプロジェクト
3年目の助成期間を終え、活動の成果をご報告いただきました。事業の詳細などは以下からご覧ください。
2023年事業紹介 経済的困難を抱える母子施設のこどもたち(小学生~高校生)のための地元大学 と連携した支援ネットワークモデルの構築
2023活動報告|母子施設での学習・体験支援で、多様な大人とのつながりを創出できた
2024活動報告|母子支援センターをはじめ、数か所で学習支援の体制を構築
事業の目的 事業の内容 事業の成果 課題および今後の展望 3年間の助成を振り返っての感想
事業の目的
学習支援モデルとして、尾道市居場所づくりネットワーク事業登録団体(主にこども食堂団体)へ、学習支援体制の展開、導入を可能とし、地域社会の仕組みとして残せるよう取り組むという3年目の目指す状態が達成できました。
1.学習支援モデルを新拠点創出につなげられたこと、学生ボランティアとの関係や元教員参画も引き出し、教育委員会や施設との関係性も強化できました。
2.これまで進めてきた外部団体との丁寧なコミュニケーションを活かし、新たな施設やこども食堂との連携も継続して取り組める体制の素地ができました。
事業の内容
1年目...こどもたち一人ひとりに応じた学習支援の在り方を確立するために、こども支援に関わる行政機関、学校、教員間、連携先尾道市立大学、施設職員、団体で情報の共有・課題整理を行う
2年目...1年目同様、尾道市立大学学生さんの学習支援ボランティア体制を構築し、児童養護施設三美園の学習支援事業を開始
3年目...学習支援モデルとして、尾道市居場所づくりネットワーク事業登録団体(主にこども食堂団体)へ、学習支援体制の展開、導入を可能とし、地域社会の仕組みとして残せるよう取り組む
事業の成果
本事業では、地域の空き家を活用した多世代型の居場所拠点を基盤に、経済的困難や家庭環境の課題を抱えるこどもたちへの学習支援と伴走支援を継続的に実施しました。その結果、支援対象の拡大、地域連携体制の構築、学生ボランティアの育成、支援モデルの地域内波及など、個別支援に留まらない地域基盤形成に関するアウトプットを創出しました。
① こどもへの直接支援に関するアウトプット
小学生〜中学生を対象とした学習支援機会の継続提供
週複数回の対面支援およびオンライン支援の実施
個別学習計画に基づく伴走型支援体制の確立
不登校・学習困難等を抱えるこどもの受け入れ体制整備
学習習慣形成・自己肯定感向上を目的とした居場所支援の実施
進路相談・生活相談の実施
学校・保護者との情報共有機会の確保
のべ参加児童生徒数:12000名
のべ支援回数:1600回
のべ支援時間:3200時間
② 支援環境整備・運営基盤に関するアウトプット
空き家拠点の継続運営
学習支援教材・ICT環境整備
支援記録フォーマットの整備
個別アセスメント・記録蓄積体制の確立
こどもの状態把握に基づく支援改善サイクルの導入
③ 学生・地域人材育成に関するアウトプット
大学生ボランティアの継続受入
支援者向けオリエンテーションの実施
こども理解・関わり方に関する実践研修
学生の社会参画経験の創出
地域住民参加による見守り体制形成
参加学生数:1400名
のべ参加回数:1000回
④ 連携ネットワーク構築に関するアウトプット
学校との連携体制構築
社会福祉協議会との情報共有
地域団体との協働
支援対象児童の紹介ルート整備
多機関連携による支援導線確立
⑤ モデル形成・地域波及に関するアウトプット
他学区への居場所立ち上げ支援
視察受け入れ対応
実践共有・講演機会の提供
地域内外への活動発信
多世代型居場所モデルの可視化
⑥ 組織基盤強化に関するアウトプット
法人運営体制の整備
外部助成事業との連動運営
活動評価指標の整理
事業継続資源確保の推進
スタッフ・協働者ネットワーク拡張
⑦ 3年間のアウトプットの本質的到達点
本事業を通じて、学習機会の提供という個別支援に加え、地域資源を活用した多世代交流型の支援環境が形成されました。こどもを中心に学校・地域・学生・支援機関が緩やかに接続される基盤が構築され、持続可能な地域内支援モデルの基礎が整備されたことが、本事業における重要なアウトプットです。
課題および今後の展望
1.成果報告
事業を通じて、経済的困難や家庭環境等の理由により学習機会や社会参加機会が制限されがちなこどもたちに対し、学習支援と多世代交流を組み合わせた居場所機能を継続的に提供することができました。地域の空き家を活用した拠点運営を基盤に、大学生ボランティアや地域住民、関係機関との連携により、こども一人ひとりに寄り添う支援体制が形成されています。
特に以下の点において成果が見られました。
継続的な参加を通じた基礎学力の定着および学習意欲の向上
学校外で安心して過ごせる居場所の確保による心理的安定の促進
大学生や地域住民との関わりによるロールモデル接触機会の創出
学校・社会福祉協議会等との情報共有による支援連携の深化
こどもを中心とした地域の見守りネットワークの広がり
また、学習支援を単独の教育活動としてではなく、生活背景や感情面への配慮を含めた包括的支援として実施することで、こどもの自己肯定感や対話姿勢の変化など、数値化しにくい成長の兆しが継続的に確認されました。
本事業は、地域における「学びと関係性を同時に育む基盤」として機能しつつあり、地域共生型の支援モデルとしての有効性が示されています。
2.課題
一方で、事業運営を通じて以下の課題も明確になっています。
(1)支援ニーズの増加への対応力
支援を必要とするこどもは増加傾向にありますが、スタッフ体制・人材確保・運営資源の制約により受け入れ規模拡大には限界があります。特に継続的に関わる担い手の確保が重要課題となっています。
(2)支援の個別最適化の深化
こどもの背景や課題が多様化する中で、学習支援のみならず心理・進路・生活支援との接続をより体系化する必要があります。個別支援計画や記録評価のさらなる高度化が求められています。
(3)持続可能な運営基盤
活動の社会的意義に対して、安定財源の確保や組織体制の強化が依然として課題であり、事業の継続性確保のための資金・人材両面での基盤整備が必要です。
(4)成果可視化手法の高度化
心理的成長・関係性形成といった定性的成果を社会に伝えるための評価指標・記録方法の整理が今後の重要テーマとなります。
3.今後の展望
今後は、本事業を単年度的支援にとどめるのではなく、地域に根付いた持続可能な支援基盤として発展させることを目指します。
具体的には以下の方向性を重視。
支援体制の強化
大学生・地域人材育成プログラムの整備による担い手の循環形成
個別支援の質向上
記録・評価フレームの整備による支援の質の可視化と改善
学校・福祉との連携深化
早期把握・伴走支援を可能とする地域連携モデルの確立
モデル展開可能性の検討
地域内他学区への波及や知見共有による社会的インパクト拡張
本事業は、こどもの学力向上のみを目的とするものではなく、地域全体でこどもを支える関係性の再構築に資する基盤づくりとして機能しています。
今後もこども一人ひとりの可能性に寄り添いながら、地域共生社会の実現に向けた実践知の蓄積と発信を継続していく。
3年間の助成を振り返っての感想
本事業に取り組んだ3年間は、こどもたち一人ひとりの姿を通して、地域における学びと関係性のあり方を問い続ける時間でした。支援を必要とするこどもたちの背景は多様であり、学習課題だけでなく、家庭環境、自己肯定感、人との関係づくりなど複合的な要素が重なっていることを改めて実感しました。そうした現実に向き合いながら、単なる学習機会の提供ではなく、安心して存在できる場と継続的な関係性を育むことの重要性を深く認識する機会となりました。
活動を通じて印象的だったのは、こどもたちの変化だけでなく、それを取り巻く大人や地域の変化です。大学生ボランティアや地域住民が関わることで、こどもを中心としたゆるやかな支援の輪が広がり、「地域でこどもを育てる」という実感が共有され始めたことは大きな成果でした。支援の現場は常に試行錯誤の連続でしたが、その過程自体が地域の協働関係を育む時間となったと感じています。
一方で、担い手の確保や資源の制約、支援ニーズの拡大への対応など、多くの課題にも直面しました。限られた体制の中で活動を継続することの難しさを実感すると同時に、個人や団体の努力だけでは解決し得ない構造的課題の存在を認識するに至りました。この経験は、本事業を社会的文脈の中で位置づけ直し、より持続可能な仕組みづくりへと視野を広げる契機となっています。
髙橋 真理子 さん
東京都で長年、学童保育の仕事に携わる。看護をきっかけに、故郷である広島県尾道市に滞在する中で、都会と地方都市の教育格差・経済格差を目の当たりにし、小学生を中心とした「空き家利活用の居場所」UMEプロジェクトを立ち上げる。
また、市内の小学校での授業アシスタントを勤める中で「経済的困難を抱える家庭のこどもたち」への学びの体験を作っていく活動に注力していきたいと活動をすすめる。